2018年02月21日

熊本旅行記(1日目)

2018年2月13日
 熊本に行ったこともないのに、熊本出身の主人公が出てくるお話を思い付いてしまったのは、三年ほど前だっただろうか。その小説はまだ書き終えていない。私はずっと、頭の中だけに存在する架空の熊本で暮らしている。実在の熊本には一生行けないような気がしていた。

 羽田を発ち、阿蘇くまもと空港に着いても、本当に熊本に来たのか、信じられないような気持ちだった。体調を崩すとか、交通機関が麻痺するとか、とにかく何かに阻まれて熊本にはたどり着けないと思っていた。私にとって熊本は、ロード・オブ・ザ・リングの中つ国のような「物語の中の世界」なのだ。

 私の混乱などお構いなしに、空港はくまモンだらけである。



 東京ではなかなか買えない熊本名物「いきなり団子」もあちこちで売っている。さつまいもとあんこを餅で包んだ素朴なお菓子で、日持ちしないのが難点だが、冷蔵庫に入れておけば明日も食べられると聞き、三個購入した。

 空港から阿蘇駅近くのホテルまでバスで移動するつもりだった……が! なんということ! 満席で乗れなかった! 次の便が来るのは一時間以上先だという。仕方なくタクシーを使うことにした。運転手さんは朴訥としたおじさんで、余分なおしゃべりはほとんど無かった。それでも少しだけ熊本弁を聞くことが出来たので嬉しかった。

 地震の被害が酷かった益城町を抜け、タクシーは坂道を登ってゆく。地震から二年近く経つが、通行止めの道路がまだ残っている。我々が進んでいるのは迂回路らしい。よく整備された道で、ガタつくこともなく快適だった。

 道が下りになり、田畑がマス目のように並ぶ風景が眼下に広がった。阿蘇の街だ。



 火口のある阿蘇五岳を中心とし、外輪山に囲まれたドーナツ型の平地に、人々が生活している。タクシーは外輪山を登っていたのだ。山肌は淡い黄色の枯れ草に覆われて、らくだのこぶのようだった。



 下りの道は曲がりくねり、いろは坂を思い出す。

 ホテルに着き、部屋に荷物を置いて、郷土料理が食べられる「山賊旅路」という店に向かった、が!



「本日の営業は終了しました、って札が出てる」
 とDちゃん。
「エーッ!」
 ここで食事をするために、店の斜め前のホテルに泊まることにしたのに(紹介が遅れましたが、Dちゃんと二人旅です)

 一キロほど歩き、阿蘇駅の横にある道の駅へ。休憩所のテレビでは、阿蘇を特集した番組の録画を流していた。ふと見ると、芸能人が「山賊旅路」で食事をしている。
「ずるーい!」
 しかしそう叫びながら食べたパンがメチャクチャ美味かった。「豆の木」という地元のパン屋さんの「ビールスティック」という商品。グリッシーニのようにカリッとしており、バターの香りがしっかり感じられる。店舗までは少し歩かないといけないので、道の駅で買えて良かった。

 ホテルに戻り、まだ七時前だというのにベッドにもぐり込んだ。こんな時間に寝ているなんて何だか病人みたいだ。旅行前の私は気が滅入り気味で、本当に病人だったのかもしれない。

<旅の備忘録>
☆羽田空港では、荷物を預けるカウンターが大行列で二十分ほど待たされた。手荷物検査もあるし、場内の移動も多いので、飛行機は出発時刻の一時間前には空港にいないと危ない。
☆交通機関は出来るだけ予約しておこう。バスの代わりに乗ったタクシーの代金はけっこうな額だった。ガイドブックには「予約不要」って書いてあるのに〜

熊本旅行記(2日目 阿蘇)に続く)
 
posted by 柳屋文芸堂 at 14:31| 旅行・お出かけ | 更新情報をチェックする