2018年08月22日

星野ルネ「まんが アフリカ少年が日本で育った結果」感想

まんが アフリカ少年が日本で育った結果
まんが アフリカ少年が日本で育った結果

 ネットで見かけた漫画がほのぼのしていて良いなぁと思い、書籍版を楽しみにしていました。
 ルネさんは見た目100%アフリカ(カメルーン)人、4歳直前に来日し兵庫県姫路市で育ったので、日本語(関西弁)がほぼ母国語。
 カメルーン人が日本人の集団の中で暮らす、という特異な状況に対して、ルネさん御本人や周囲の人が「関西弁でツッコミを入れる」
 この「異文化の接触」と「関西弁」の相性が良いんだな。
 いっぱい笑った!

 人間というのは「イメージ」によってこの世界を把握している。
 「外国人」のイメージ→日本語を話せない。日本のことをよく知らない。英語を話す。
 関西弁とフランス語を話し(日本で育ったから当たり前に)日本のことを知っているルネさんは、周囲の人々の「イメージ」を飛び越えてしまう。

 ルネさんは戸惑う人々を批判しない。
 あまりに度々でうんざりもしているだろうけど、あきれつつ怒らないでツッコミを入れてネタにして楽しんでいる。

 人間は何故ここまで「イメージ」に囚われるのか。
 今、目の前にある世界を「全く知らない状況」として毎回一から把握していくのは大変だ。
 「イメージ」によって世界を単純化すると、考えたり想像したりする回数を減らせる。
 そうやって無意識に思考や時間を節約しているのだろう。
 「イメージ」に合わない人を犠牲にすれば済むだけだ。

 人間の脳にはあるがままの世界を受け入れる力があると、私は信じている。
 たくさん考えたり想像したりすれば良いのだ。
 漫画や小説のような「物語」は、イメージを作りもするし、壊しもする。
 ルネさんの漫画は良いイメージを作り、狭いイメージを壊している。

 関西の人が描く「おかん」って素敵ですね(これもイメージだ)
 又吉直樹やダウンタウンの松ちゃんがエッセイの中で描くおかんを思い出す。
 民族衣装を着て入学式に来て、カメルーンのピリ辛スープをお弁当に持たせたりする「おかん」
 お母さんというのはおおむね素晴らしいものなのだろうけど、イタリア人と関西人は躊躇せずに母への愛を表現する。

 ルネさんの漫画は色彩が明るく鮮やかで美しい。
 本の三分の一くらいがフルカラーなのが嬉しかった。
 ヤシの木やパンの実など、日本では馴染みのない植物、食べ物の紹介も興味深かった。



 これは私がルネさんを知るきっかけになったツイート。
 最近の作品のようで、今回の本には入っていない。
 続刊を楽しみにしています♪
 
posted by 柳屋文芸堂 at 10:32| 読書 | 更新情報をチェックする