2008年03月21日

アドン

 高校時代の友人から突然、
「テレビを見ていたらアドンの話が出て来て、あなたを思い出した!」
 というメールが来た。

 アドンとは、男性同性愛者のための情報雑誌の名前。
 高校時代、私は「現代社会」の授業の自由研究で同性愛をテーマに選び、アドンはその資料の一つだった。

 これを買った時の、本屋のおばちゃんとのやり取りが忘れられない。
「あなた何歳?」
「16です」
「……許してあげる」
 何だよ、その悪事を見逃すような言い方は! とムッとして、
「研究に使うんです」
 と真剣に言ったのだけど、信じてもらえたのかどうか。

 研究レポート提出後、私はアドンを山田詠美の「ひざまずいて足をお舐め」や竹宮惠子の「風と木の詩」と一緒に、部室のロッカーの上に並べておいた。
「あそこは師匠(=私のあだ名)の禁断の棚だから、近付いちゃダメよ」
 と友人が後輩に指導したりして。
 巻頭グラビアのモデルのポーズを真似したり、イラストにしたり、楽しみましたなぁ。
 ……それ研究かよ!

 苦しい恋の告白(おまわりさんに片思いしてしまった人の話が印象に残っている)や、性的な関係だけを求める相手募集、逆にそういうのには疲れ果てたから心が欲しいという募集……
 愛も性も知らない耳年増高校生にはどの記事も刺激的で、そしてその遠いはずの苦悩や欲望に、妙に強く共感した。

 今思えばあの雑誌、18歳未満への販売は法律で禁じられていたはず。
 許してくれてありがとう、本屋のおばちゃん。勉強になりました。

 16歳の私と同じくらい孤独だった、あの雑誌に出て来た男の人たちが、
 31歳の私と同じくらい、幸福になっていますように。
 それは無理な事なんかじゃないよね?
posted by 柳屋文芸堂 at 01:36| 友達 | 更新情報をチェックする