着付け担当のお姉さんは、ヒロシさんほど個性的ではないけれど(あんな人が二人いる美容室もどうかと思う)気さくで感じの良い人だった。
「この着物、もしかして辻和で……」
「そうです。三味線の先生に紹介してもらって」
「さすがですねぇ! あそこは良い店ですよ! 絶対押し売りしませんからね」
「着物の押し売りって、そんなによくあるんですか?」
「あります、あります! 私も無理やり買わされそうになって泣きながら帰ったことが。今と違って若かったから、強く断れなくてねぇ」
この話を三味線仲間にしたら、やっぱり押し売りされた経験がある、とのこと。
全然珍しいことじゃないんだ。
着物を売る人たちは、そういう行為が着物を敬遠する原因になり、巡り巡って自分たちの損になることが分からないのだろうか?
「辻和」は馬喰町駅のそばにある着物の卸問屋。
体育会系のさばさばした店員さんが親切に対応してくれる。
何しろ私は着物の知識皆無の状態で買いに行ったので、色と模様の好みだけ伝えて、帯揚げや帯締めなどの小物はほとんど全部おまかせで選んでもらった。
自分でもすごく気に入ったし、周囲の評判も良かった。価格も高くない。
問屋さんだから、基本的に平日昼間のみの営業。
お勤めしている人には行きにくいのが難点か。
時間がある程度自由になる人にはおすすめです(サイトは
こちら)
さて、お姉さんの着付けはかなり上手だったらしく、一日中着崩れせず、楽に過ごせました。
慣れないから途中で具合が悪くなったりしたらどうしよう、と心配していたんだ。
これなら今後も十分いける。自信ついた。
(美容室のサイトは
こちら)
着物というと、すぐ着付けを習わなければいけない気がしてしまう。
でも、上手な人に全部お願いしちゃう、という楽しみ方もあるんだ。
しばらくこのやり方で行こう。着付け中のおしゃべりも面白いし。
一つ、失敗したなぁ、と思ったのは、着物の色。
名取は黒の紋付、素人は淡い色の着物、という不文律があったようで、私の紺の着物は妙に偉そうに見えた。
旅館の仲居さんみたいになるかと思ったのに。おかしいなぁ。
顔がクドいから、淡い色って似合わないんだよね……
次は真っ赤な着物にしようかしら。
会場は着物の人でいっぱい。男も女も。
着物好きの人が見たらたまらないだろうな。
私も幸せでした。
posted by 柳屋文芸堂 at 00:38|
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