2009年12月18日

キラキラしないクリスマス

 クリスマスバージョンのダイアログ・イン・ザ・ダークに行って来ました。
 二回目だったのですが、案内する人やメンバーが変わると、また違う楽しさがあります。

 やっぱりこのイベントの醍醐味は、
「ダイアログ」
 ですね。一見目立つ、
「イン・ザ・ダーク」
 の方ではなくて。

 今回は、
「早く行こう」
 と急かすおじさんがいなかったので、色々のんびり味わえました。
(前回の記事はこれ

 素敵だったのは、
「奥様へのプレゼントとして、二人で参加することにした」
 というご夫婦。
 暗闇の中でもメチャクチャ仲良しでしたよ。
(ノロケ・イン・ザ・ダーク!)
 ズルい、こっちは一人参加なのに。

 イベント後は二人でディナーとのこと。
 羨ましいっ

 クリスマスバージョンの一番の特徴は、音楽の要素が強いことかな。
 ハンドベルを鳴らしたり、生演奏を聞いたり。

 案内をしてくれたのは、若くて可愛らしい女性でした。
 特に声が澄んでいてね。

 ベルの音を即座に当てたので、アッと思い、
「音楽をされているんですか?」
 と尋ねると、恥ずかしそうに、
「歌を」
 との答え。音大の三年生だそうです。 
 レッスンだけでも大変だろうに、ダイアログ・イン・ザ・ダークのスタッフもやるなんて、意欲的だな〜

 会場の中でしばらく一緒にいると、遠慮がなくなってきて、
「子供の頃からずっと見えないんですか」
 とか、障害について質問する人も出てくる。
「傷付いてしまうんじゃないか」
 と私はハラハラするのだけど、よく考えるとみんな、目の見えない人と話す機会自体ほとんど無い訳だ。
 こういう時に聞きたい事を聞いて、親しみを持てるのは良いことなのかもしれない。

 案内の女性は途中から見えなくなったそうで、色などは全て分かるらしい。
(ちなみに私の伯母もそのタイプ。服の色の組み合わせにものすごくうるさい)

 面白かったのは、生まれた時から全盲だったお友達の話。
 その人は、色付きの夢を見るというのです。
 そして、
「夢の中で見た海の色がとても綺麗だったから、青が好きなの!」
 なんてことを言う。
 彼女もその感覚は分からず、びっくりしたそうです。

「目で物を見る」
 という経験を一切持たない人の、心のなかに広がる海。
 いったいどんな色で輝いていたんだろう、と考えると、とても幻想的で、素晴らしいと思いませんか?

 ヘレン・ケラーの文章を読んでも、「視覚」と「空間の認識」の関係って実はそんなに重要じゃないのかも、と感じます。

「私が月明かりの夜、独木舟を浮かべるのが特別に好きだというならば、あなたがたは微笑されるでしょう。もちろん、私は松の木の後ろからのぼって、ひそかに天空を横切り、舟の行方に銀光の道を敷く月を見ることはできませんが、月が大空にかかっていることを知って、座席を枕に寝そべりながら手を水に浸すとき、私は通りすぎる月の女神の裳にゆらぐ光に触れるような気がするのです。」
(ヘレン・ケラー「わたしの生涯」より)

 これだけ月を美しく描ける人ってそういないですよ。
 ヘレンは一歳半の時に視力を失っているのですが。
 世界を「見る」ってどういうことなんだろう、と考えてしまいます。

 まあそんなこんなで、なごやかに、とても楽しく過ごすことが出来ました。
 このイベント、今は常設で定休日以外ならいつでも行けるのだけど、ずーっとやり続けられると決まった訳ではないらしい。
 終わっちゃったら嫌だな〜
 なかなか気軽に行ける値段ではないのですが、貴重な空間だと思うので、ささやかに応援し続けたいです。
 また違うバージョンになったら参加しようっと。
posted by 柳屋文芸堂 at 01:33| 同人以外のイベント | 更新情報をチェックする

2009年10月18日

ダイアログ・イン・ザ・ダーク

 ダイアログ・イン・ザ・ダークに行って来ました。
 一切光のない暗闇の中を、目の見えない案内人に助けてもらいながら、数人(最大8人)のグループで進んでいく、というイベント。
 参加者はそこで様々な体験をします。
 その一つ一つはささやかで、日常的なもの。
 けれど視覚に頼らないことで、いつもと違う発見をする……

 はずなんですが。
 私には普通の人とちょっと違う反応が起きました。
 光が無くなった途端、私の中の伯母(全盲)が立ち上がったのです!
 こんな時、伯母ならこうする。
 こういう時、伯母ならこう動く。
 そういうのが次々に思い浮かんで、ちっとも怖くなかった。

 お化け屋敷じゃないからもともと怖がらせる意図はないのですが、やはり最初は闇に慣れずに不安や恐怖を感じる人が多いようです。
 いやぁ、嬉しかったなぁ。
 自分の中にこんなにも伯母が入り込んでいるんだ! って分かって。
 伯母というと遠く感じるけど、生まれてから結婚するまで一緒に住んでいたから、家族なのです。
 ほとんど親同然。
 たとえ世界が真っ暗になっても、伯母が守ってくれるんだな。
 
 面白かったのは、女性と男性の反応の違い。 
 私も含めて女性陣は、暗闇を勇敢に進み、大笑いしたりしながら、あらゆる感触を楽しんでいた。
 しかし男性たち(特におじさま)は、
「早く行こう」
「もう帰ろう」
 と、急かしてばかり。
「空気が薄い」
 なんてことも言っていた。全然そんなことなかったのに。
 空気じゃなく、呼吸がおかしくなってるんだよ!

 最後には、
「楽しむどころじゃなく、罰を受けているみたいだった」
 だって。
 女性の一人は、
「暗闇の中から出るのが寂しく感じるくらい。宇宙空間を漂ったようで楽しかった〜!!」
 と感激していたのにね。

 自分の知らない感覚を開発することに貪欲だよね、女子は。 
 実際、参加者の男女比は3対7で圧倒的に女子が多いそう。

 公式ページにもありますが、これは視覚障害の疑似体験をする催しではありません。
 目の見えない人の暮らしは、私の体験とは比べられないほど過酷だろう。
 電車のホームとか、車道とか、ハイブリッドカーとか、危険がいっぱいで。

 でも、彼らの生活は大変なだけでなく、目の見える人にはない豊かさがある。
 それを教えてくれるのが、このイベントの醍醐味なのかもしれない。

 私はヘレン・ケラーの「わたしの生涯」を思い出して読み直した。

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 うーん、やっぱり良いなぁ。
 なんて豊穣な文章!

 ヘレン・ケラーは、
「三重苦を克服した」
「盲人の教育・福祉の向上に尽力した」
 等々多くの功績がありますが、文筆家としても非常に優れていました。

 これは絶対に、他の誰にも書けない文章です。
 残された三つの感覚を研ぎ澄ましていたのはもちろん、彼女は「言葉」によって世界と強く結びついていた。
 小説、哲学書、科学の本(それらへの深い理解)
 旅先から送られてくる友達からの手紙。
 サリバン先生とのおしゃべり。
 つまり広い意味での「ダイアログ(対話)」

 ダイアログ・イン・ザ・ダークを楽しんだ人なら絶対、
「おおーっ!」
 と叫ぶに違いない本。
 アマゾンにも在庫があるのでぜひどうぞ。

 私が買った時はちょうど品薄で、本屋で取り寄せてもらわないと手に入らなかった。
 絶版になっちゃうのかとヒヤヒヤしたよ。
 本当に名作なので。
 ユーモアがあって面白いしね。
  
 ダイアログ・イン・ザ・ダークももちろんおすすめです。
 特に創作をする人は感覚が命だから、きっと役に立つと思う。
 私もこの経験を自分の文章に生かせるよう、頑張ります。
posted by 柳屋文芸堂 at 01:12| 同人以外のイベント | 更新情報をチェックする

2009年06月20日

xChange_Books

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 代官山の+ING Atticで開催されている、本の交換会に参加して来ました(公式ページはこちら
 持っていったのは次の三冊。

 Coccoの写真集「8.15 OKINAWA」
 二階堂奥歯「八本脚の蝶」
 桜庭一樹「私の男」

 いらない物では申し訳ないので、自分にとって大切な本を選びました。
 その本に関するエピソードをしおりに書いてはさみ、棚に並べてもらいます。

 棚の本は自由に持ち帰ることが出来るので、私も四冊いただきました。
 
 岸田今日子「あの季この季」
 ロバート・A・ハインライン「夏への扉」
 スティーヴン・W・ホーキング「ホーキング、宇宙を語る」
 佐藤勝彦「眠れなくなる宇宙のはなし」

 また積ん読を増やしてますよ……?!
 読めば良いんです(何度言ったか)
 特に岸田今日子の本が嬉しいなぁ。

 棚の管理をしていた方(初対面!)と本や映画の話で大いに盛り上がり、長居してしまいました(すみませんっっ)
 ホラー映画の見方を教えてもらったのが収穫だったな。
 楽しかった〜♪

 「八本脚の蝶」について話していたら興味を持ってくれて、そのままお持ち帰り決定。
 手放して後悔しないかさんざん悩んだ本なので、行き先を見届けることが出来てホッとしました。

 21日までやっています。
 本好きの人はぜひどうぞ。

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↑帰りに寄った恵比寿
posted by 柳屋文芸堂 at 01:18| 同人以外のイベント | 更新情報をチェックする

2009年01月05日

「菌類のふしぎ」展

 ギリギリセーフ! で行って来ました。
 楽しかった♪

 展示のほとんどが段ボールで、文化祭っぽい雰囲気にワクワクする。
 そのあちこちに油性ボールペンで作者のツッコミ落書きが!
 「中川」という署名のあるペニシリンの資料に対して、
「中川のだ」
「あいつな」
 と青カビたちが話し合う絵がおかしかった。中川って誰?

 菌ファンとしては、変形菌の実物に感動しました(正確には菌じゃないけど)
 大学の頃からずっと憧れていたのです。
 写真でしか見たことがなくて。
 南方熊楠の紹介もありました。ゴッホの自画像みたいな強過ぎる視線にうっとり。

 光るキノコも綺麗でした。
 光る原理が分かってない、というのがまた魅力的。
 解明されているものより、解明されていないものにロマンを感じるのが、科学っ子というもの。

 じっくりお勉強するには、やや人が多かったかな。
 でもまあ、そこはガイドブックを読んで補えば問題ないでしょう。
 このガイドブックがまた可愛いんだ!
 表紙を分厚くしてまで単行本そっくりの体裁にしたのがあっぱれ。
 本棚にも並べやすいよね。

 グッズは、ガチャガチャは全て売り切れていましたが、クリアファイルやカレンダーなど、まだ販売しているものも沢山ありました。
 私は三味線の先生に頼まれていたシールと、ポストカードを購入。
 ホクホク♪

 最終日は1月12日(月・祝)!
 まだ行ってない人は、混雑に負けずレッツゴーだ!!
posted by 柳屋文芸堂 at 10:16| 同人以外のイベント | 更新情報をチェックする

2008年06月09日

「横溝正史の世界」展

 二松学舎大学大学資料展示室で開催されている、「横溝正史の世界」展に行って来ました。
 というか、大学に着いてから横溝正史の特集だと知った……
 乱歩直筆の資料があると朝のラジオで聞いたので、ふらふらと行ってみたのです。

 大学のわきの道を進み、静かな展示室に入る。
 おお、薬剤師免状がある! 横溝正史って薬剤師だったのか。
 わー、写真がいっぱい。あ、乱歩だ! 良いじいちゃんしてるな〜
 渡辺啓助もいる。よく名前を聞く人だな。

 奥に行くと、あったあった。乱歩との交流についてのコーナーだ。
 えーっと、えーっと。
 ……。
 達筆過ぎて読めません! 乱歩先生!!
 何でこんな江戸の人みたいな文字なんだ〜
 公の文書である表彰状の文字は普通なのに、横溝正史あての手紙が完全なくずし字。
 横溝くんなら読めないはずはない、ということだろうか……

 あと、操り人形(文楽?)のかしら(頭)が三つ置いてありました。
 解説なし!
 横溝ファンなら分かるだろ! なの?
 乱歩からのプレゼントかしら。
 
 この展示、横溝正史ファンはすごく嬉しいと思います。
 代表作の生原稿や、取材ノート、未発表作原稿もいくつかありました。
 乱歩と違って、ちゃんと読解出来る文字だし!

 横溝正史を一作も読まずにここに来る奴なんて、私以外にいないだろう……
 読もう読もうとは思っているんです。ずっと前から(読めよ!)
 獄門島からにしよう、と決めていたけど、八つ墓村の冒頭の方が好みだったな。

 「乱歩は永遠不滅である」「乱歩は永遠にして不滅である」の両方に、
「乱歩の臨終に立ち会ったとき」
 という文章を見つけ、ハッとする。

 横溝正史の小説世界はまだ知らないけど、乱歩にとって横溝正史がどんな存在だったかは、乱歩全集を読んで知っている。
 横溝正史の鋭い批評に対する、恐れ。褒めてもらえるのではないか、という期待。
 乱歩はちょっと異常なくらいに、横溝正史を気にし続けた。
 子供が何か新しいことをする時に、親の目を何度もちらちら見るように。
 
 片思いじゃなかったんだなぁ。当り前か。
 横溝正史と乱歩の関係が好きな人には、ちょっとほんわか出来る展示です。
 対象がかなり限定されますね。

 九段下近辺に用事があったら、ついでにどうぞ。
posted by 柳屋文芸堂 at 22:34| 同人以外のイベント | 更新情報をチェックする