2019年03月30日

「河鍋暁斎 その手に描けぬものなし」展 感想

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 六本木のサントリー美術館で開催中(で、もうすぐ終わっちゃう)河鍋暁斎展に行ってきました〜

 カエルの相撲と美人画を同じ一枚の絵の中に描いたり、意外なものを組み合わせる感じが現代的だった。
 卒塔婆小町図は人間の死体の上にウサギの顔が浮かび、シュールレアリスム絵画のようだ。

 鳥や虎など動物の絵はどれも、輪郭が活き活きしていて良かった。
 達磨図も視線に力があって格好良かったな〜

 河鍋暁斎はとにかく真面目な人だったようで恐れ入った。
 信仰心が篤く寺にたびたび絵を寄進し、古い絵を模写して学ぶことを怠らず、沢山の注文仕事をこなし、さらには毎日絵日記までつけていたという。
 努力する才能というか、そこまで絵にのめり込み続けることが出来たのがすごい。

 さまざまな種類の絵があったけれど、一番勢いがあるのは戯画だ。
 真剣にふざけるためには、強靭な精神と高度な技術が必要なのだと思った。

 「放屁合戦絵巻」はタイトルそのままのバカバカしい絵だ。しかし解説に、
「『戯画の暁斎』らしい作品だが、画題自体は平安時代まで遡る」
 とあって、エーッ!

 日本美術の豊かさと、河鍋暁斎の異常な情熱をひしひしと感じる展示でした。
 
posted by 柳屋文芸堂 at 01:40| 美術 | 更新情報をチェックする

2018年12月10日

「オノ・ナツメ 1日1キャラクター展」感想



 有楽町マルイで開催していた「オノ・ナツメ 1日1キャラクター展」最終日に行って来ました〜!
 1日1キャラクターって何だろう? と思っていたら、オノ・ナツメ作品の登場人物がいーっぱい並んでいた。日付が添えられているので、1日に1キャラずつ、コツコツ描きためていた様子。

 2006年の作品である「not simple」の主人公イアンを、2017年8月29日に描いていたのが嬉しかった。作品が結末を迎えても、イアンは作者の中で生きていたんだなぁ、と。
 漫画では一コマくらいしか出て来ない端役キャラも、主人公と同じ大きさの紙に描かれ、平等に並んでいるのが良かった。どのキャラも作者に深く愛されているのを感じた。

 私はオノ・ナツメの絵、特にその線の引き方と表情のとらえ方がすごく好きで、漫画というより画集のように楽しんでいる部分がある。知っているキャラも知らないキャラも、幸せな気持ちで眺めた。
 Dちゃんと一緒に行くことが出来て、素敵なデートでした♪

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posted by 柳屋文芸堂 at 00:34| 美術 | 更新情報をチェックする

2018年10月04日

「萩岩睦美 画業40周年記念 再現画展」感想

 ガレリア表参道原宿で開催中の萩岩睦美展に行って来ました〜!

 萩岩睦美さんは雑誌「りぼん」で活躍していた漫画家さん。私は子供の頃に「パールガーデン」「うさぎ月夜に星のふね」「魔法の砂糖菓子」などの作品を繰り返し読み、かなり強く影響を受けた。幼い私に「世界が単純ではないこと」を教えてくれた物語。私の魂の土台になっている。

 再現画、というのは雑誌掲載のために描いたカラー原稿を、展示に耐える画材で御本人が描き直したもの。元の原稿は印刷向きのインクを選んでおり、紫外線で褪色してしまうそうです。

 どの絵も懐かしくて、可愛くて、綺麗で…… 萩岩さんに話しかけるファンのみなさんが「作者に会えた感激でどうしたら良いか分からない!」という感じに熱い思いがあふれまくっていて、その様子を見ているだけで幸せだった。私は「似顔絵そのまんまの萩岩さんだ〜」と見つめるばかりで、声をかけられなかった。ひたすら会場内をぐるぐるしていた(不審者)

 少女の頃に夢中になった物語を今でも愛し続けているファンと、かつて描いた作品を今でも大切にしている作者が作り出す、親密で幸福な空間だった。

 展示は10月8日まで(地図など詳細はこちら
 ポストカード、一筆箋、マグカップなどグッズも充実しています。
 
posted by 柳屋文芸堂 at 00:13| 美術 | 更新情報をチェックする

2018年09月30日

「デザインあ展」感想

 日本科学未来館で開催中の「デザインあ展」に行ってきました。
 元になっている番組は見たことがないのだけど、ディレクターの佐藤卓さんに興味があったので。

 とにかく混んでいた!
 体験型の展示が多く、子供たちが楽しむ雰囲気で、大人がしゃしゃり出るのは申し訳ない感じ。
 それでも待ち人数が少ないものはいくつか体験出来たし、見るだけの展示も自然と何かを「想像」させる。
 見る人を受け身にしない工夫があちこちにあった。

 一番格好良かったのは、大きな展示室の四方の壁全てに映し出される、写真が次々と紋に変わっていく映像。
(「森羅万象」このページで見られる)
 花や鳥などが抽象化されて「紋」になる。

 カラーは白黒に、輪郭は数学的な線となって、いったん単純化される。
 しかしその単純な形は規則に沿って細かく増殖し、複雑に変化していく。
 その圧倒的なバリエーション。

 この作品以外にも、複数の物の形の共通点を見つけたり、「抽象化」について考える展示がけっこうあった。
 ふと、私が好きな本の表紙は、本の内容を正確に美しく抽象化出来ているんだな〜 と気付いた。

 私はデザインが苦手で、だからこそ私の知らないことがいっぱいあって面白い。
 
posted by 柳屋文芸堂 at 00:51| 美術 | 更新情報をチェックする

2018年09月02日

「言葉を超えた写真家 富山治夫『現代語感』」展 感想



 東京ミッドタウンへ行く途中で見たポスターの写真に惹かれ、入場無料だというのでFUJIFILM SQUAREで開催中の「言葉を超えた写真家 富山治夫『現代語感』」展を見てみたら、思った以上に良かった! 1960年代(高度経済成長期)の、人のあふれる都会の風景を、皮肉な、時に優しい視線で切り取っている。

 人口増加が当たり前だった時代。人が生まれてくる喜び(妊婦や赤ん坊の写真)があると同時に、人が多過ぎる大変さ(交通や混雑にまつわる写真)もある。仕事の休憩時間も、夜の恋する時間も、人がぎゅうぎゅう。

 人間は幸福だけを運んでくるわけではなく、他人の不幸は(悪いなと思いつつ)滑稽に見えたりもする。しかし人が生きているというのは、おおむねニコッとしてしまうような出来事なんだ、と感じさせる。ユーモアと物語のある写真ばかりだった。


posted by 柳屋文芸堂 at 23:10| 美術 | 更新情報をチェックする

2018年09月01日

「琉球 美の宝庫」展 感想

 サントリー美術館で開催中の「琉球 美の宝庫」展に行ってきました〜
 9月2日で終わっちゃうので危ないところだった。間に合って良かった。

 やはり一番感動したのはチラシなどに使われている玉冠(ぎょくかん)。



「表面を黒縮緬(ちりめん)で覆い、帯状の金糸が縫い付けられ、各筋には金、銀、珊瑚(さんご)、水晶、瑪瑙(めのう)、琥珀(こはく)、軟玉の7種類の玉が金の鋲(びょう)でとめられている」(展示横の説明文より引用)

(軟玉:硬度が比較的低い玉の一。緑閃石(りょくせんせき)または透閃石(とうせんせき)からなり、古くから飾り石や工芸品に用いられた。「デジタル大辞泉」より)

 豪華でありながら上品。
 こんな宝石の飾り方があるのかと感心した。
 特に朱色っぽい珊瑚の赤と、黒の組み合わせにうっとりする。

 着物の布地も色鮮やかで美しかった。
 王族の少年が着用していたと思われる、芭蕉布の夏物単(ひとえ)
 紅花で緋色に染められている。
 芭蕉は大きな葉を持つ植物で、この茎の繊維から糸を紡いで織るそうだ(参考ページ

 桐板(トゥンビャン)という布もあり、これは虎尾蘭(とらおらん)の繊維で織るとのこと(参考ページ
 苧麻(ちょま)という草の繊維で作る宮古上布(参考ページ)もあった。
 どちらも薄く、暑くても気持ちよく着られそうだ。

 映画「メットガラ ドレスをまとった美術館」を見て、西洋のデザイナーは中国と日本の文化をごちゃ混ぜにしていると、少々呆れた。
 しかし琉球文化を見ると、中国と日本の文化は分断しておらず、連続しているのだと感じる。

 絵画の中に描かれている「針突(はじち)」も興味深かった。
 琉球の女性が指や手の甲などに施していたという入れ墨(参考ページ
 やはり入れ墨が重要な、ポリネシア文化とのつながりを思った(勝手に思っただけで実際に起源が同じかは不明です)

 華やかさという意味でも、他文化との交流という意味でも、開放的な印象を持った。
 日本に琉球文化があるのは本当に幸せなことだなぁ、と感じる展示でした。
 
posted by 柳屋文芸堂 at 11:35| 美術 | 更新情報をチェックする

2018年07月25日

特別展「縄文―1万年の美の鼓動」感想

 東京国立博物館の平成館で開催中の縄文展に行ってきました〜
 土器だらけだった!
 ちょっと今、石器気分で、土器を見ても上の空だったのだけど(すまん。当時の人々の暮らしぶりの方に興味があって)それでも立体的に盛り上がり、中空部分があったりする縄文土器は迫力があって美しかった。

 他の国で出土した土器は、表面がつるっとしているものが多いらしい。
 縄文土器のように表面に凸凹のある模様を付けるのは、世界でも珍しいようだ。

 会場に少しだけあった石製品(石斧など)と、国立科学博物館の常設展にあった石製のナイフで、石器気分を満たしました。
 楽しい一日でした。
 
posted by 柳屋文芸堂 at 22:52| 美術 | 更新情報をチェックする

2018年05月06日

「Khadi インドの明日をつむぐ」感想

 昨日、六本木の「21_21 DESIGN SIGHT」で開催中の「Khadi インドの明日をつむぐ」という展示を見てきました。

 Khadi(カディ)というのはインドの織物の名前です。糸車を使って紡いだ糸を、手織り機で織り上げる。素朴ながら薄くて繊細な布地。全ての工程が手作業で、それが独特の風合いを生み出している。何より暑い時に着たらすっと汗を吸い取ってくれて涼しそう。
 糸の密度を変えて濃淡を出し、格子柄にしているものとか、綺麗だったなぁ!
 芯を入れずに布だけで作るという、丸いボタンも可愛かった。

 機械の方がずっと早く大量に生産出来るのだろうけど、私は手で作り上げた美しいものに強い憧れがある。指先の感覚でしか表現出来ないものはまだまだ沢山あると思うし、「作る」という行為が人の心に与える影響を重視しているせいもある。
 効率的な生産を否定したいのではなく、目的によって使い分けたい。
 選択肢の一つとして、消えてしまいやすい手工芸を守れたら、と願う。

 小規模な展示なので30分くらいで回れた。映像を全部じっくり見たらもう少しかかるかな。
 珍しくDちゃんと二人で鑑賞し(いつもは忙しくて私一人の時が多い)その後、南イタリア料理のお店「Napule」でホタルイカのパスタを食べて、ゴールデンウィークの楽しい思い出になりました♪

 Khadiの服、欲しいな〜 真夏に着たい!
 
posted by 柳屋文芸堂 at 23:17| 美術 | 更新情報をチェックする

2018年02月03日

「石内都 肌理(きめ)と写真」展感想

 横浜美術館で開催中の石内都さんの写真展に行ってきました〜!
 私は石内さんの写真が大好きなのですが、その感情はあまりにも個人的で、
「面白いよー! ぜひ行ってみてー!!」
 と薦めるような感じでは全くない。

 石内さんの写真のどこが良いか、正確に言葉にするのは難しい。
 撮られるべきものがきちんと写っている。
 余分なものも足りないものも過剰なものもない。
 それを基本とした上で、胸の奥の方にじわじわと来る何かがある。

 塗料のはがれた壁や、年老いた人の肌の質感。
 ざらつきやしわ。それを作り出した歳月。

 痛みはあるが「痛々しい」のではない。
 もっと静かで深い疼き。

 傷と傷跡は違う。
 傷跡は「治っている」
 記憶だけを残して。

 私は浅はかさを罪だと考えている。
 浅はかさは人を傷付けるし、物事の解決を難しくしたりもする。

 人間には表面しか見えない。
 今現在の姿しかとらえられない。

 でも物事には、内側もあれば過去もある。
 表面から、内面や時間の積み重ねを正確に読み取ろうと努力することが、浅はかさから抜け出すための道になるのではないか。
 誤読をしてしまう可能性も十分にあるけれど。

 「分からない」のが世界や人間の本質で、もし「分かった」と思ってしまったら、そこには何らかの技術か作為かまやかしが存在しているのではないか。

 簡単に答えを出さないこと。
 考え続けること。

 フリーダ・カーロの遺品の写真が会場で一番華やかで、美しかった。
 色彩がぱあっと明るく、フリーダの悲しみより、彼女がそれを選んだり、身に付けたりしていた時の喜びの方が強く伝わってきた。

 会場には展示されてなかったけれど、石内さんが撮影した荒木陽子さん(アラーキーの奥さん)の写真もあるらしい(写真集のタイトルは「1・9・4・7」)写真美術館の図書室あたりで探してみよう。

写真関係 (単行本) -
写真関係 (単行本) -

 この石内さんのエッセイ集も読んでみたいな。
 
posted by 柳屋文芸堂 at 23:26| 美術 | 更新情報をチェックする

2017年12月14日

「オットー・ネーベル展 シャガール、カンディンスキー、クレーの時代」感想

 バウハウスのことが知りたくて行ってきました。
 バウハウスとは、美術と工学を融合させるという理念によって設立され、わずか14年でナチスによって閉鎖された建築学校。

 オットー・ネーベルはバウハウスで活動したことはないそうですが、バウハウスで教鞭を執っていたカンディンスキーやクレーと交流し、影響も受けていたので、バウハウス関連の展示品がけっこうありました。
 そのほとんどが、何故かミサワホーム所蔵。
 調べてみたら「ミサワバウハウスコレクション」というものがあり、約1500点のバウハウス関連作品を保有していることが分かった(公式サイトはこちら

 オットー・ネーベルのことは全然知りませんでした。
 気難しい性格で、作品の制作手法も厳密だったようですが、作品そのものは色彩が美しく、親しみやすい。
 ナチスから逃れるため、スイスに亡命した。
 そこでもすぐに歓迎された訳ではなく、その時の苦労を伝える紹介映像が切なかった。

 シャガール、カンディンスキー、クレーの作品も思ったより多くあって楽しかったな。
 シャガールの絵を見ると20代の頃のことを思い出す。
 当時あちこちでシャガール展をやっていて、こまめに見に行っていた。
 絵の前でぼーっとするだけで幸せな気持ちになる。

 ミサワバウハウスコレクションは、バウハウス創立100周年にあたる2019年に向けて、色々企画を準備しているようです。そちらも楽しみ。
 
posted by 柳屋文芸堂 at 00:52| 美術 | 更新情報をチェックする