2015年11月11日

「春画展」感想

 開催前からずーっと楽しみにしていた春画展、行って来ました〜!!
 会場は文京区目白台の永青文庫。
 有楽町線江戸川橋駅から行ったら、胸突坂という急な坂を登ることになって大変でした。

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 公式サイトでおすすめされているように、目白駅からバスに乗った方がラクだと思います。

 さてさて、この永青文庫は、昔内閣総理大臣だった細川護熙さんち(旧肥後熊本藩主細川家)の文化財を管理保存・公開している施設のようです。
 和風なのかと思ったら洋館で、赤い絨毯の上を移動して春画めぐりをするのが不思議な感じで面白かった。

 平日なのにメチャクチャ混んでた!!
 土日はすごいだろうな、あれ。
 他の美術展より明らかにおじさん・おじいさんが多かったよ。
 みんな好きね……

 春画というのは性を描いた日本画・浮世絵。
 しかし、あれに性的に興奮する現代人は少ないんじゃないかなぁ。
 肉体も行為も、あからさまかつ詳細に描かれていて、どんな人たちが何をしているかはよーく分かるのだけど、分かったからといってドキドキするとは限らないのが恋と性。

 現代のエロ漫画も、数百年後には、
「こんな目のデカい女のどこが良いの??」
 と未来人の首をひねらせるのかもね。

 性的な目的にはもはや使えないように思える春画ですが、春画展を開催するまでに紆余曲折、色んな騒ぎがあったようです。
 まあ確かに、現代日本では表に出すことが禁止されている、男女の性器がばっちりしっかり描かれているからね。
 春画を見る時もついそこに目が行っちゃうのだけど、何枚か見ればそれは飽きる。
 誰にでも付いているあれさ。

 それよりも「うぉぉぉぉ!!」となるのは、毛と着物の柄の表現。
 つまり細部。
「どんな筆を使ったの?! どんな技を使ったのよ!?」
 息を呑むほど繊細で、色鮮やか。
 これはほんと、一見の価値ありだと思います。

 何でこんなに性的に興奮しないのかなー と考えてみたのですが、表情の変化に乏しいんだよね。
 ほとんどの絵で、人物の顔が真顔。
 みなさんそんな乱れずにいたしていたのですか。

 倫理的に、快楽に浸る表情を描くことを避けたのだろうか。
 その方が性器よりよほど卑猥だものな。
 いや、電気がないから、暗くて顔がよく見えなかったとか?

 そんな中にあって、歌川国芳「江戸錦 吾妻文庫」の男の視線は斬新で、ドキッとしたなぁ。
(グッズ売り場でこの柄のトランクス売ってたよ)
 渓斎英泉の描く、眉根を寄せる男の表情もリアルだなー と感じた。

 そうそう、基本的に、双方合意の上での性行為に見える絵ばかりでした。
(二人じゃない時もあるので、全員、かな?)
 一つ、女の人が泣いている絵があったけど、理由は分からない。

 嫌がっているのを無理やり、みたいなのが多い現代の性描写より、ずっと気持ち良く見られたよ。
 ああいうの、ほんと苦手なので。

 嫌々する、というのは、性の禁止と表裏一体なのかもしれない。
「性的なことは悪いこと→本当はやりたくない→無理やりだから仕方ない」
 という理屈を付けないと、心穏やかに見られない、とか?
 よく分からないけれども……

 私は性というものを、幸福であたたかなものだと感じている。
 だから春画に描かれているおおらかな性は、非常に馴染みやすかった。
 多くの人の心にある、性に対する複雑な感情がほぐれると良いな。

 12月23日まで。
 京都にも巡回するらしいよ……!
 
posted by 柳屋文芸堂 at 19:24| 美術 | 更新情報をチェックする

2015年09月19日

森本美由紀展(弥生美術館・竹久夢二美術館)

 弥生美術館で開催中の森本美由紀展に行ってきました。

 墨汁と面相筆で描かれたイラストが素晴らしかった。
 墨と筆の線は、インクとペンの線よりずっとダイナミック。
 勢いがあって、太さの変化が自由自在。
 これで山水画ではなく、ファッション雑誌の表紙に使われるような、おしゃれな女の子を描くからすごい。

 弥生美術館の隣は竹久夢二美術館で(ほぼ同じ建物)こちらで展示中の夢二の楽譜の表紙も素敵だった。
 歌詞や音楽に合ったイラストを付けて、一曲ずつ販売していたらしい。
 これは集めたくなるよね。

 弥生美術館・竹久夢二美術館は私にとって、本当に心なごむ場所です。
 高畠華宵の美しさ、竹久夢二の愛らしさにどっぷり浸れるんだもの。
 疲れたあなたに大正ロマン。
 
posted by 柳屋文芸堂 at 03:43| 美術 | 更新情報をチェックする

2015年08月08日

川本喜八郎人形ギャラリー

 人形好きな人が渋谷に行ったら、ヒカリエ8階にある川本喜八郎人形ギャラリーを見るのを忘れずに!
 入場無料で、混んでないからのんびり出来るよ。

 川本喜八郎はNHK人形劇「三国志」「平家物語」の人形美術を担当した人。
 展示も作中の場面を再現するように並べられていて、ドラマチック。
 あらすじも書いてあるから分かりやすい。

 人形の制作方法も写真入りで説明してあって、面白かった。
 展示が替わったらまた行きたいな。
 
posted by 柳屋文芸堂 at 03:12| 美術 | 更新情報をチェックする

2015年07月25日

エリック・サティとその時代展

 渋谷のBunkamuraザ・ミュージアムで開催中の「エリック・サティとその時代展」に行って来ました。
 平日とはいえ「えっ?」と驚くほど空いていた。
 ピアノの生演奏のある日で、演奏開始まではまだかなり時間がある、という状態だったからかな。
 演奏前後は混雑したのかもしれない。

 展示品はサティに関係のある本の表紙・挿絵、ポスターなどが多く、どれもおしゃれ。
 夏にボーッと鑑賞して楽しむのにぴったりだった。
 約100年前の作品とは思えない。
 この頃の絵が、後の時代の作品に大きな影響を与えたからだと思う。

 「スポーツと気晴らし」の楽譜集が良かったな。
 これは21曲のピアノ小曲集で、序曲以外の20曲にシャルル・マルタンの色鮮やかな挿絵が入っている。
 この全てが展示されており、映像コーナーでは絵・譜面・譜面に書かれた言葉・音楽を一緒に楽しむことが出来た。

 サティは生涯にたった一度しか恋をせず、しかもそれは半年で終わってしまったそう。
 相当ショックを受けたというから、期間が短くても遊びじゃなかったのだ。
 切ない。

 自分の家のドアに「旋律の販売」を呼びかける看板を掲げたり、自分に手紙を書いたり、彼なりに必死で戦って生きていたみたいだ。
 何をやっても常に変なんだけど。

 「本日休演」という曲の楽譜の口絵に書かれた、サティが持つ看板の文章が素晴らしい。

「すべてを説明するという習慣を脱ぎ捨てるのはいつになるのかね?」

 これから行く人は、ピカソがデザインした馬がすごいので見逃さないように。
 あと、会場が寒いので上着を持って行くと良いよ……
 
posted by 柳屋文芸堂 at 02:03| 美術 | 更新情報をチェックする

2015年07月01日

国立公文書館 企画展「恋する王朝」

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 今日は東京・竹橋にある国立公文書館で開催中の企画展「恋する王朝」に行き、ギャラリー・トークを聞いてきました。
 興味深い展示が色々あったのですが、全部書く時間がないのでとりあえず一つだけ。

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 これは伊勢物語の第一段「初冠(ういこうぶり)」の挿絵で、舞台は奈良の春日の里。
 左下をよく見ると……

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 鹿だっ!
 伊勢物語は平安時代に書かれ、この本は江戸時代に出版されたもの。
 少なくとも江戸時代にはすでに「奈良といえば鹿、鹿といえば奈良」ってイメージが出来ていたってことだよね。
 平安時代はどうだったんだろう。

 奈良の鹿はいったいいつからいるんだ?

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posted by 柳屋文芸堂 at 23:33| 美術 | 更新情報をチェックする

2015年06月27日

大英博物館展―100のモノが語る世界の歴史

 大英博物館の収蔵品から選んだ100種類の「物」によって人類の歴史を見ていこう、という趣旨の展示。
 200万年前の石器から現代のソーラーランプまで。
 3時間半かけてじっくり楽しみました。面白かったです。

 大理石で出来たミトラス神像が素晴らしかったなぁ。
 ミロのヴィーナスみたいに写実的な彫刻で、どの方向から見てもリアルで優美。
 そして残酷。

 ミトラス神は女性か少年のような姿なのに、牛を捕らえて短剣を突き立てているのだ。
 牛の足をぐっと踏みつけて押さえているのが臨場感を出している。

 ミトラス神を信仰するミトラス教というものがかつて存在し、キリスト教に敗れて消滅してしまったらしい。
 こんなに美しい像が残っているのに、どんな宗教だったのかあまり分かっていない様子。
 それって「想像の余地がある」ってことだよね。

 お地蔵さんサイズのモアイが見られたのも嬉しかった。
 小さくてもモアイ!
 石のザラッとした質感と、茫漠とした表情がたまらない。

 夜のうちに50メートルくらいさり気なく移動してそうな雰囲気。
 でも怖くない。
 
 今回一番の目的は「イフェの頭像」
 エルンスト・ゴンブリッチの「美術の物語」という本の中で紹介されていて、まさか実物に会える日が来るなんて思わなかった。

 イフェの頭像はアフリカで発見されたのに、当初、
「アフリカの人間にこんな高度な技術がある訳がない」
 と別の場所から運ばれたものだと勝手に思われていたという。
 それがアフリカのものと判明し、ヨーロッパ人がアフリカのイメージを変えるきっかけになった。

 奴隷制度に関する展示(奴隷を買うのに使う貨幣)や説明もあり、
「南米で銀を増産させたら先住民の死亡率が上がったので、アフリカから奴隷を連れてきた」
 という流れが、今の日本に似ているように感じた。
 労働環境を改善するのではなく、外国から人を連れてきてどうにかしようとするところが。

 現代に近くなると、裸の男性二人がベッドで寝ている絵(ホックニー「退屈な村で」)などもある。
 イギリスでは1960年代に自分を偽らずに生きようという運動が起き、同性愛の権利を求める活動も盛んになった。

 これを展示?! と驚いたのが、クレジットカード。
 アラブ首長国連邦のもので、イスラムの教えに基づき利息は課さない、ということが幾何学模様によって示されている。
 利息を課さないクレジットカードってどんな仕組みなんだろう。

 他にも興味深いものがいっぱいあって、とても紹介しきれない。
 東京会場は6月28日までですが、福岡・神戸にも巡回するのでお近くの方はぜひどうぞ。
 (公式サイトはこちら

 あと、この展示の元になったラジオ番組の日本語版があり、ネットで聞くことが出来ます。
 (こちらから)

 ついでにレキシの「狩りから稲作へ」も聞くと良いよ!
 (展示品に縄文土器もあるのです)


 
posted by 柳屋文芸堂 at 00:44| 美術 | 更新情報をチェックする

2015年05月28日

「21_21 DESIGN SIGHT」の読み方

 昨日の記事の単位展の会場である「21_21 DESIGN SIGHT」
 現代美術やデザイン寄りの展示が多くてよく行くのですが、長いこと呼び方を知らなかった。
「ミッドタウンの端っこにあるアレ」
 と覚えておけば辿り着けるし。

 ある時、美容室で美術展の話になった。
 会場を説明しようとして、
「えーっと、ほら、あそこ。『にじゅういち、にじゅういち』って書いてある……」
 笑い出す美容師さん。
「『トゥーワン・トゥーワン・デザインサイト』ですね!」

 これが正式名称(公式サイトのこのページに説明がある)
 入り口には「21_21」という番地の表示みたいなプレートがかかっている(これ
 「にじゅういち、にじゅういち」で分かってくれる美容師さん、大好きだよ。
 
posted by 柳屋文芸堂 at 23:50| 美術 | 更新情報をチェックする

2015年05月27日

「単位展」感想

 東京ミッドタウンにある21_21 DESIGN SIGHTで開催中の「単位展」に行ってきました。

 ラジオ番組で紹介されたのを聞いて興味を持ったものの、単位の勉強ばかりだったらつまらないかも……
 なんて心配する必要なかった。
 色んな方向から単位を意識させてくれて、面白かったです!

 言葉でしか知らない単位を実感したり、

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↑各単位の長さの木。尺とフィートがほぼ同じだと初めて気付いた。

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↑各単位の重さのサンドバッグのようなもの。一貫の重さに驚く。百貫デブは375kgですよ……

 DESIGN SIGHTだけあって、デザインする人が使う単位も多かった。

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↑物の角をどれだけ丸くするかを示す、R見本帖。

 私には馴染みのないものなので、へぇ〜っと感心。

 大工さんが使う「曲尺」の便利さにも打ち震えた。
 直角に曲がった定規で、一見単純に見えるけど、メモリが数学的に工夫されている。
 木の直径を測ると、そこから作れる柱の太さがすぐ分かったり。

 単位によって物事は明確になり、物を正確に作れるようにもなる。
 自分の中の単位の世界が広がった気がしました(主に、物理学からデザインの方向に)

 5月31日(日)まで。
 お客さんは多いですが、平日なら辛くなるほど混雑することもないんじゃないかな。
 興味のある方は明日か明後日のうちにどうぞ。
 
posted by 柳屋文芸堂 at 22:53| 美術 | 更新情報をチェックする

2015年05月07日

エドワード・レビンソン写真展「Whisper of the Land」

 銀座の「Art Gallery M84」で開催中の、エドワード・レビンソン写真展「Whisper of the Land」に行ってきました。

 レンズを使わないピンホールカメラで撮影した写真。
 輪郭が独特のぼやけ方をするので、夢でいつか見た風景のよう。
 どこにでもありそうな岩や木々が写っているだけなのに、現実ではないみたい。

 目を開けて見る風景ではなく、目を閉じた時に見える風景。
 頭がふわ〜っとする。

 音楽がずっとかかっていて、何となく落ち着かないギャラリーだったのが少々残念。
 表現しているものが繊細なのだから、静かに集中させて欲しいなぁ。

 エドワード・レビンソンの写真はネットでも見ることが出来ます→こちら
 
posted by 柳屋文芸堂 at 22:57| 美術 | 更新情報をチェックする

2015年03月27日

細江英公「薔薇刑」展

 築地のふげん社ギャラリースペースで開催中の「薔薇刑」展に行って来ました。
 ちょっと展示作品数が少なかったかなー
 もっとまとめて見てみたい。

 簡単に言うと「薔薇刑」は三島由紀夫のヌード写真集です。
 細江英公が撮影する肉体が好きで見に行ったのだけど、一番印象に残ったのは目の写真だった。

 実を言うと三島由紀夫ってほとんど読んでない。
 「仮面の告白」はすごく好きで、でもその後に読んだ「潮騒」が全然好みじゃなくて、離れちゃったのだ。

 今日、三島の目を見ていて、何者なのか定まらない感じが良いなと思った。
 「潮騒」が合わなかったとしても、他の小説の中に私好みの三島がいるかもしれない。
 小説一つ一つにそれぞれ別の三島がいるのかもしれない。

 また読んでみようかな。
 
posted by 柳屋文芸堂 at 01:19| 美術 | 更新情報をチェックする