2014年07月22日

サグラダ・ファミリア

 下の記事で書き忘れましたが、サグラダ・ファミリア、2026年に完成しちゃうそうですよ!!
 作り続けることに意義があるような気がしていたので、ちょっとがっかりしたりして。
 建物そのものより、ガウディの意志を受け継いで工事を続けている人々の心意気が、サグラダ・ファミリアの本体だと思っていた。

 人間は、目の前のものがどれだけ不完全でも、完全を夢見ることが出来る。
 その尊さ。
 愚かさかもしれない。

 しかしサグラダ・ファミリアの内部の映像を見たら、
「こりゃあ完成して欲しい、行って見てみたい!」
 と考えが変わりました。
 当たり前だけど、建物の計画に魅力があるから、みんな100年以上努力しているんだ。

 サグラダ・ファミリアはまるで生き物。
 外側も、内部も、完成までの道のりも。

 ガウディは晩年、サグラダ・ファミリアの設計にのめり込み、身なりにも気を使わなくなった。
 そのため路面電車の事故に遭っても高名な建築家だと思われず、治療が遅れて亡くなったらしい。

「高名な建築家じゃなかったとしても治療してやれよ、スペイン人」
 って思ったけど、これは公的保険が整っている現代日本に生きているから言えること。
 当時(1926年)は「貧乏人=治療費を払えない人」と見なされたんだろうな。

 ガウディはサグラダ・ファミリアについて、
「神は完成をお急ぎではない」
 と言ったとか。
 小説書きがなかなか進まない時につぶやこうっと……
posted by 柳屋文芸堂 at 00:14| 美術 | 更新情報をチェックする

2014年07月20日

特別展「建築家・ガウディ×漫画家・井上雄彦」感想

 森アーツセンターギャラリー(六本木ヒルズ 森タワー 52F)で開催中の、特別展「建築家・ガウディ×漫画家・井上雄彦」に行ってきました。

 まず、展示の順番が非常に良かった。
 入り口すぐの所で井上雄彦作の動画と、ガウディの建築の映像が大画面で見られる。
 もうここで、
「スペイン行きたい! 生でカサ・ミラやサグラダ・ファミリアが見たい〜!!」
 と叫んじゃう(このページに写真あり)
 ガウディと井上雄彦の世界にすっと入れるのだ。

 その後はガウディの生涯を描いた井上雄彦の漫画と、ガウディの建築に関係するものがほぼ交互に並ぶ。
 漫画は西洋が舞台なのに和紙に墨で描かれていて、その組み合わせが全然変じゃないんだ。
 和風でもない。洋風でもない。映画みたいでもない。

 何だろう、漫画の極みとでも言えば良いのか。
 「漫画」という言葉には色々意味が付いているので難しいのだけど。
(「まるで漫画みたい」と言う時、どんなものを想像しますか?)

 漫画家たちがこれまで表現し続けたものの中から、最もシリアスな部分をすくい取ったような。
 静かで優しい画面。

 ガウディの作品は多岐にわたっていて面白かったですね。
 絵画のような完成予想図。設計図。細部のデザイン。
 椅子や模型など立体ものも沢山。

 その中の「カサ・バトリョの扉」(このページの2章に写真あり)がものすごく気に入って、
「このポストカード欲しいな〜 でも無いだろうな〜」
 と思ったら特設ショップでばっちり売ってた!
 ひゃっほう!!

 この扉を開けたら、そこはどんな世界なんだろう。
 考え出したら止まらない。
 そんな物語めいた扉。

 ガウディは子どもの頃リウマチだったそうで、その痛みの中から骨の存在を意識し、自然を注意深く見つめるようになる、井上雄彦の漫画は秀逸でした。

 ガウディの作品には、生き物のような力強さと美しさがある。
 植物に似た外観。細胞そっくりの部屋。花と蝶の色彩。
 見れば見るほど素晴らしい。

 そして井上雄彦の絵も、ガウディに全然負けてないのだ。

 井上雄彦とガウディの作品がたっぷり載っている図録、買おうか悩んで悩んで結局買わなかった。
(高いので。でも質と量を考えたら悪い値段じゃなかった)
 うー 買うべきだったかなー
 ちょっと後悔している。

 壁と床を泳ぐ海亀も可愛かった。
 絵じゃなくて、本当に泳ぐの。
 そういう細かい仕掛けも楽しいです♪
posted by 柳屋文芸堂 at 02:09| 美術 | 更新情報をチェックする

2014年07月11日

徒然草 美術で楽しむ古典文学

 サントリー美術館で開催中の「徒然草 美術で楽しむ古典文学」という展示に行ってきました。
 徒然草を元にした絵画が中心で、面白いところもあったのだけど、うーん、何となく不満が残った。
 何でかなー と考えて、
「私は『徒然草がどんな風に読まれたか』が知りたかったんだ!」
 と気付いた。

 例えば、徒然草は美しい絵を添えたものが嫁入り道具になったりするのですが、これを夫婦が読んだのか、それとも飾っておいただけなのかが分からない。
「徒然草の〇〇段のおかげで夫婦の危機を乗り越えられました!」
 みたいな日記は残ってないのだろうか。
 そういうのを見たいんだよ。

 徒然草は教訓話が多いので、しっかり読み込むとずいぶん影響を受けると思う。
 自己啓発本が好きで徒然草をまだ読んでない方がいたら、ぜひ。
 今回の展示でも現代語訳を沢山読めます。
 ただ、入場料より本を買う方が安い……

 もう一つ不満。「猫また」の絵が無かったの。
 私が見落としただけ?
 好きな話なのに〜
posted by 柳屋文芸堂 at 00:20| 美術 | 更新情報をチェックする

2014年06月20日

バルテュス展(上野・東京都美術館)

 バルテュス展にようやく行って来ました。
 開会前から騒いでいたのに、閉会直前に行くことになろうとは……(最終日は6月22日)
 遊ぶのに忙しくて遊ぶ暇がなかった。

 平日の午後だったのですが、いや〜 混んでること!
 ふだん私がよく行く現代美術の展示より、年配の方、特におじさまが多かったように思います。
 やはりバルテュスのエロスに惹かれてやって来たのだろうか。

 バルテュスの絵画で最も有名なのは、立て膝をつき、太ももをさらすようにして座る少女の姿。
 モデルを変え場所を変え、何度も描いている。

 そういう少女の絵の前は黒山の人だかり。
 風景画の前は空いているのに。
 みんな、分かりやすいな!

 バルテュスの少女の絵には、明らかに猥褻さがある。
 ならば100%ポルノかというと、そうじゃない。
 「劣情」と「美への感動」はどれくらい同じで、どれくらい違うのだろう。

 男性の性的な目的のために描かれたり撮影されたりする女の裸は、空っぽのように見える。
 魂の入ってない、ただの肉体。
 もちろん写真の場合は実在の女性がモデルになっている訳で、本当は空っぽではないのだけど、魂が写らないように気をつけているのだ。
 使用する時に、邪魔なのだろう。

 バルテュスの少女は、ただの肉体などでは決してない。
 ならば本当の少女かというと、それも違う。
 少女への憧れ、狂おしく恋い慕う気持ちを、少女の形で表したような印象。
 そこには欲望と敬意がつまっている。

 性と美の興奮が急激に高まり、一瞬で揮発してしまうような感覚に、ぼんやりする。
 バルテュス。
 また見られる日が来ますように。
posted by 柳屋文芸堂 at 01:21| 美術 | 更新情報をチェックする

2014年05月22日

美とは何か?

 その人、もしくはある集団などが美しいと感じたものが美。
 絶対的な美など無い。

 あたかもそれがあるかのように錯覚されがちなのは、
「権力者が美としたもの」
「多くの人が美しいと感じたもの」
 が威圧感を与えるから。

 あなたが美しいと感じたものが美です。
 他人にとっての美に屈したりしないでよね。
posted by 柳屋文芸堂 at 01:40| 美術 | 更新情報をチェックする

2014年05月17日

イメージの力―国立民族学博物館コレクションにさぐる

 国立新美術館の、
「イメージの力―国立民族学博物館コレクションにさぐる」
 という展示を見てきました!(公式サイトはこちら

 タイトルだけだとちょっと何があるか分かりにくいですね。
 展示品が作られた場所は、世界中のあちこち。
(パプアニューギニア、ガーナ、カメルーン、カナダ、ブラジル等々)
 展示品の種類は、いろいろ。
(仮面、像、装飾品、布、農機具等々)

 それじゃあ何でもありじゃん! と思われるかもしれない。
「国立民族学博物館と国立新美術館の共同企画」
 というところがポイントなのです。

 博物館が「文化を理解するために重要」と考えて集めた品々の中から、
 美術館が「美しいもの」を選んだ。
(公式見解ではなく、展示を見た上での私の印象です。ご注意を)

 結果的に、非常に親しみやすく楽しい空間になっている。
 とりあえず、ハニワや土偶が好きな人は絶対行った方が良い。
 展示物はそこまで古くないけど、あんな感じの雰囲気なのだ。

 リアルではなく、ちょっと記号的で素朴な表現。
 怖カワイイって言うのかな……?

 色鮮やかなものが多いのも特徴(そこはハニワと違う)
 いつまでもいつまでも見つめていたいものがいっぱい。
 最後まで行った後、入り口まで戻って2回見ちゃった。
 幸せだった。
 
 「重要」「美しい」という感覚は人それぞれで曖昧で、正解はない。
 博物館や美術館の人たちもきっと悩みながら研究して、今現在の最善を見つけ出しているのだろう。

 帰宅後Dちゃんに展示品の説明をしたら、
「漆原教授が持ってそう」
 確かにタイトルを「漆原コレクション」にした方が分かりやすいね。
 「動物のお医者さん」を読んでないと意味不明ですが。

 平日だったこともあって、会場は全く混雑していませんでした。
 一つ一つの作品を満喫出来るのは良いけど、もっと沢山の人に見て欲しいな〜
 ほんと、充実しているので。
 
 最寄り駅は東京メトロ千代田線の「乃木坂」
 会期は6月9日までです。
posted by 柳屋文芸堂 at 03:56| 美術 | 更新情報をチェックする

2014年04月19日

自分のための芸術

「芸術に正解なんて無いんだからさ」
 とDちゃんに言ったら、
「正解があると思っている人が世の中にはいっぱいいるんじゃない」
 と返された。
 うーん、そうなのかー

 人気のある芸術が、正解?
 経済的に成功した芸術が、正解?
 評論家が評価した芸術が、正解?
 100年後まで生き残った芸術が、正解?

 私は「僕の中にもある子宮」という立体作品に感動して、美術館めぐりを始めた。
 しかしこの作品はそれほど評価されなかったらしく、現在では全く情報を見つけることが出来ない。
 ここのブログで呼びかけたこともありますが(この記事)反応なし。

 「僕の中にもある子宮」は美術界では正解とされなかったのかもしれない。
 それでも私の心を動かし、体を動かし(美術館まで運び)、私の精神の形を変えるきっかけになった。
 私にとっては花丸の大正解である。
 
 芸術の正解は一人一人違う。
 他人の評価など気にせずに、多くの人が「自分のための芸術」を見つけられると良いな、と思うのです。
posted by 柳屋文芸堂 at 23:50| 美術 | 更新情報をチェックする

2014年02月23日

「エドヴァルド・ムンク版画展」感想

 モネ展と同じ国立西洋美術館で開催されていて、モネ展の券があれば無料で入れます。
 実を言うと、私はこっちの展示品の方が好みでした。

 モネ展の絵は本当に綺麗で、
「3枚ばかり盗んで帰ろうかな〜」
 と一緒に行った友人に冗談を言ったほど。
 部屋に飾りたくなるような雰囲気なのです。

 ムンクの絵は、絶対に飾ったりしたくない。
 所有するのもイヤ。
 美術館というのは、決して個人が持ち続けることの出来ないような負のエネルギーを放つ作品を、封印しておくための場所でもあるんじゃないか、なんて思った。

 恐ろしい、でもムンクの絵って、ユーモラスなんだよね。
 本人が意図したのかは分からないけど。
 不条理ギャグ漫画みたいに楽しめたりする。
 おそらく漫画家たちがムンクの影響を受けているのではないか。

 特に良かったのが「アルファとオメガ」という連作。
 アダムとイブの物語が元になっているが、展開はもっと混沌としている。
 陰鬱な絵も、ストーリーを追えるから親しみやすい…… と感じるのは漫画好きだからかも。

 作者のうんざりした気持ちが非常によく伝わってくる結末。 
 素晴らしい!

 モネ展ほど混雑してないので、ムンクに興味のある人はぜひどうぞ。
 彼が絵の中で表現した不安は、誰もが感じたことのある不安だ。
 だからこそ世界中で愛されるのだろう。

 公式サイトはこちら
posted by 柳屋文芸堂 at 23:52| 美術 | 更新情報をチェックする

「モネ 風景をみる眼」展感想

 上野にある国立西洋美術館で開催中の「モネ展」に行ってきました。
 メチャクチャ混んでた。
 土曜だから仕方ない、と思いつつ見ていったら、混雑の理由はそれだけじゃないと判明。

 展示品が思った以上に豪華なのである。
 モネを中心として、セザンヌ、ゴッホ、ゴーギャン、ルノワール、果てはピカソの青の時代まで!!
 どれも馴染みやすい美しい風景画で、うっとり気持ち良〜く鑑賞出来る。
 こりゃあ評判になるはずだ。

 印象派の絵はどれも「リアルじゃないのにリアル」に感じるので面白い。
 地べたに落ちる日差し。水面の船影。
 山の岩肌。雪の日の樹の色。
 乾いた冬の畑。森の湿った空気。

 どれも、
「うん、ほんと、こんな感じ!!」
 とうなずいちゃうのだ。

 写真みたいにそのままを描いている訳じゃないのに。
 近付くと裸の大将(山下清)の貼り絵みたいにつぶつぶしてるのに。
 画家によってつぶつぶの大きさは違いますが。

 よくこんな不思議な方法を思い付いたなー
 と感心します。
 そして、印象派の作品が、多くの人の心をとらえることも。

 「万人受け」と言うとあまり褒めているように聞こえないかもしれない。
 でも、美術マニアだけでなく多くの人々を幸せに出来るのって、素晴らしいことだ。
 その幸福感は、豊かに人を支える。

 もし可能なら平日に行くことをおすすめします。
 会期は3月9日(日)まで。
 公式サイトはこちらです。
posted by 柳屋文芸堂 at 00:36| 美術 | 更新情報をチェックする

2014年02月09日

美術鑑賞の楽しさ

 私が「美術鑑賞って良いなぁ」と思う理由の一つは「拘束されない」ということ。
 興味を持てない作品の前は素通りしても良いし、
「うわぁ!」
 と感激した作品は閉館時刻まで見つめ続けたって良い。

 映画や演劇は終わるまで席を立てないし、頭もストーリーを追い続けなければいけない。
 それはそれで面白いのだけど、私の場合、ストレス解消のためには美術の方が向いている気がする。
 何が描かれているのか分からない不思議な絵の前で、ボーっとする幸せ。
 心が解放されて疲れが取れるのだ。

 全ては鑑賞者の想像力しだい。 
 高く飛んでも良い。
 深く潜っても良い。
 何も考えなくても良い。

 美術館は誰もが自由になれる場所。
posted by 柳屋文芸堂 at 21:48| 美術 | 更新情報をチェックする