2014年02月09日

美術鑑賞の楽しさ

 私が「美術鑑賞って良いなぁ」と思う理由の一つは「拘束されない」ということ。
 興味を持てない作品の前は素通りしても良いし、
「うわぁ!」
 と感激した作品は閉館時刻まで見つめ続けたって良い。

 映画や演劇は終わるまで席を立てないし、頭もストーリーを追い続けなければいけない。
 それはそれで面白いのだけど、私の場合、ストレス解消のためには美術の方が向いている気がする。
 何が描かれているのか分からない不思議な絵の前で、ボーっとする幸せ。
 心が解放されて疲れが取れるのだ。

 全ては鑑賞者の想像力しだい。 
 高く飛んでも良い。
 深く潜っても良い。
 何も考えなくても良い。

 美術館は誰もが自由になれる場所。
posted by 柳屋文芸堂 at 21:48| 美術 | 更新情報をチェックする

アンディ・ウォーホル展

 森美術館(六本木ヒルズ森タワー53階)で開催されている「アンディ・ウォーホル展」に行ってきました〜
 大雪の中……ではなく、晴れていた金曜のうちに。
 平日の割には混雑してたなー
 土日しか行けない人は大雪の間に行っておいた方が良いかも?
(交通機関が麻痺したり、道が凍って滑るかもしれないのでご注意を)

 キャンベル・スープ缶やマリリン・モンローを描いた、いかにもウォーホルらしい作品から、商業デザイナーをしていた頃のイラストや実験映画など、なかなか見る機会のないものまで、たっぷりそろっている。

 一番印象的だったのは「銀の雲」という一つの部屋をまるまる使った作品。
 でかい枕のような銀色の風船がフワフワいくつも浮いていて、無重力状態の宇宙飛行士みたいにゆっくりゆっくり室内を巡っていく。

 私以外のお客さんは風船よりも窓からの眺めに夢中で(何しろ53階。そして天気も良かった)
 上空から見た東京の街と、人のシルエットと、銀の雲が重なる。
 その奇妙さ。滑稽さ。美しさ。
「写真に撮りたい〜!!」
 撮影禁止だったのが非常に残念でした。

 「絶滅危惧種」という作品も良かったな。
 動物保護団体に寄付をするために作られたらしくて、馴染みやすく飾りやすい画面構成。
「これ絶対高く売れる!」
 と思った。

 おそらくウォーホルは、
「どんな層に、どのようにウケるか」
 を完全に予測しながら作品を制作することが出来たのではないか。

 インテリ層にはこれ。お金持ちにはこれ。大衆にはこれ。
 そういうコントロールもアートとして楽しんでいた気がする。

 ウォーホルが出演していたビデオテープのCMも見られるようになってました。
 1983年に日本のテレビで流れていたの。
 私、すごくよく覚えてるんだ。

 その頃私はまだ子ども(7歳)だったから、この人が誰なのかなんて全然知らなかった。
 でも、外国人が独特のアクセントで、
「ぐんじょういろ」
 と言うのが衝撃的だった。
 学校でも男子がふざけてモノマネしていた記憶がある。
 
 このCMの主張とも重なるけど「色彩の鮮やかさ」はウォーホル作品の大きな特徴だ。
 けれども今回の展示で私が最もうっとりしたのは、白地に黒い線で描かれたシンプルな絵だった。
 けったいなアイデアを人々に受け入れさせてしまった、迷いのない優雅なライン。

 不思議だったのは、ウォーホルは現代文化の虚しさをこれでもかこれでもかと描いているのに、ウォーホルの作品はちっとも虚しくないのだ。
 むしろ充実している。
 おそらくウォーホル自身も虚しさなど感じてなかったように思う。

 本人が何を思うかに関係なく、ウォーホルは現代の本質をつかむ方法を知っていた。
 それを表現する技術を持っていた。

 ぼくの絵に対する本能は「考えないのが正しい」というもの。
 決めたり選んだりしなければならなくなると、もう間違っているんだ。


 アメリカの美しい虚しさを知りたければ、六本木ヒルズへ。
 舞台もぴったりだね。

(黄色い字は掲示されていたウォーホルの言葉からの引用です)
posted by 柳屋文芸堂 at 00:46| 美術 | 更新情報をチェックする

2014年02月08日

バルテュスが来るわよ〜

 本人は来ませんが(2001年に93歳で亡くなっている)
 作品が日本に! 東京に!!
 うぉぉ、楽しみだな〜

「バルテュス展」
会期  2014年4月19日(土)〜6月22日(日)
会場  東京都美術館(JR上野駅「公園口」より徒歩7分)
開室時間 9:30〜17:30(金曜は20:00)入室は閉室の30分前まで
休室日  月曜日、5月7日(水)
(ただし4月28日(月)、5月5日(月・祝)は開室)
公式サイトはこちら

 この人の絵の魅力をどう言えば良いんだろう、と悩みつつ上のページを見ていたら、アラーキーがすごく的確な言葉を書いていた。
「エロシュール」
 そう、そうなのよ!

 明らかにエロいんだけど、決して触れることなど出来ない神聖な雰囲気もあって、良いんです〜
 って印刷と画像でしか見たことないんだが。
 アラーキーの少女の写真や、ベルギーの画家デルヴォーの作品にも共通した空気がありますね。

 春には本物をじかに見られるんだ。
 うぉぉぉ!!
posted by 柳屋文芸堂 at 01:39| 美術 | 更新情報をチェックする

2013年12月24日

横浜トリエンナーレ「今回のテーマは忘却なんだって!」

 今日はクイーンズスクエア横浜で行われた、森村泰昌さんとはなさんのトークイベントに行って来ました。

 はなさん、テレビでは見たことあったけど、実際に目の前にすると、
「これがモデル体型というやつか!!」
 背が高くて足が細くて長くて、自分とは別の生き物のよう。

 それに対して、横に並んだ森村さんは普通のおじさん体型。
 と言っても腹が出ていたりする訳じゃなく、痩せてもいないし太ってもいないし、無個性。
 でもこの身体を使ってマリリン・モンローとかブリジット・バルドーになっちゃうんだ……

 森村さんの変身術のすごさを改めて感じた。
 ほとんど魔法ですな。

 今日のトークで印象に残ったのは、
「自由」
「前のめり」
 という言葉。

 変身願望を普段は表に出せないが、芸術の世界は「自由だから」実現出来る。
 見る人が「前のめりになる仕組み」を今作っている。※横浜トリエンナーレの準備の話。

 前のめりになる仕組み、この間見た資生堂ギャラリーの展示に確かにあったなぁ。
 「自由」と「前のめり」は文章を書き、読んでもらう上でも大事なキーワードだと思う。
 心に留めておきたい。

 森村さんがディレクターを務める横浜トリエンナーレの公式サイトはこちら
 森村さん自身が作品を出すかどうかは「ナイショ」
「今回のテーマは忘却なんだって!」
 というフレーズを広めて欲しい、とのことなのでこの記事のタイトルに入れてみました。
 どんなイベントになるか、楽しみだな〜
posted by 柳屋文芸堂 at 01:42| 美術 | 更新情報をチェックする

2013年12月22日

「森村泰昌展 ベラスケス頌:侍女たちは夜に甦る」感想

 銀座の資生堂ギャラリーで開催中の、
「森村泰昌展 ベラスケス頌:侍女たちは夜に甦る」
 へ行って来ました。

 スペインの画家ベラスケスの「ラス・メニーナス(侍女たち)」という作品を元に、紙芝居ならぬ「絵画芝居」をしちゃおう、という試み。
 寒くて冷え冷えになっていた体が、ポカポカあたたかくなるくらい面白かった!

 「ラス・メニーナス」というのは奇妙な絵です。
 10人ほどの登場人物がいるのだけど、全員が全く違う方向を向いている。
 画面から飛び出す「交わらない視線の網」が作品の本体というか。

 森村さんは登場人物たちになり切って(衣装を着て、お化粧をして)この視線をさらに複雑に操ってみせる。
 登場人物たちの後ろからこの情景を見たらどうなるか?
 登場人物たちがこの絵を(鏡を見るように)見ていたとしたら?
 そして……

資生堂ギャラリー.jpeg

 そんな芝居を外側から見る登場人物。
 芝居を見る登場人物を見る私……
 視線が本当の「線」になって空中で躍るよう。
 絵そのものではなく、絵から発せられるもの(この場合「視線」)を膨らませて楽しむ、というのが新鮮でした。

 展示は12月25日(水)まで。
 入場無料!
 知らなくて、受付でサイフ出しちゃったよ。


↑メイキングムービー
posted by 柳屋文芸堂 at 03:02| 美術 | 更新情報をチェックする

2013年12月18日

「森村泰昌 レンブラントの部屋、再び」感想

 23日で展示が終わってしまうので、大慌てで行って来ました。
 会場である原美術館には、素敵なカフェがあるのです!
 メインに選んだのは、栗と豚肉のリゾット。
 美味しかった♪

 そして!
 その時の展示に合わせた、会期限定の「イメージケーキ」が食べられる!!

image.jpeg

 これはたぶん、レンブラントになった森村さんの顔ですね。
 上の黒いのは帽子。
 ……って食い物の話ばっかりかよ!

 展示の方は、何しろ私は森村さんの作品に馴染み過ぎていて、
「美術を見る」
 というより、
「恩師に会いに行く」
 という感じでした。
 芸術鑑賞の態度としてはあまり良くないのかもしれない。

 レンブラントの奥さんに扮した作品が綺麗だったなぁ。
 やはり森村さんは女性になると輝くよね〜

 何の説明も無しに感想を書き始めてしまいましたが、森村泰昌さんはレンブラントとか、レンブラントの奥さんとか、マリリン・モンローとか、三島由紀夫とか、色んな人になってみて、セルフポートレイトを撮るアーティストです。
 美術作品だけでなく、エッセイも大好き。
 かなり影響を受けていると思います。

 「白い闇」という、真っ白い部屋に写真が一つだけ置いてある作品があり、そこを抜けると奈良美智の部屋があるのが面白かった。
 爆発の白い閃光に焼かれたはずが、気付くと子供に戻っていた、という物語めいた展開。

 芸術から衝撃ではなく安らぎを得たって良いよね?
 そればっかりじゃダメだと思うけど。
posted by 柳屋文芸堂 at 03:46| 美術 | 更新情報をチェックする

2013年12月14日

「エドワード・ゴーリーの世界」感想

 銀座のヴァニラ画廊で開催されている、
「エドワード・ゴーリーの世界」
 という展示を見てきました。

 エドワード・ゴーリーはアメリカの絵本作家。
 可愛いのだけど、ちょっと怖くて何か引っかかるような雰囲気があります。
 西岡兄妹を軽やかにした感じ(という説明がどれくらいの人に伝わるのか)

 原画だけでなくポスターや人形など様々な作品がありましたが、私が一番気に入ったのは、
「Elephantômas」
 という象(?)の連作です。

 何故「象」ではなく「象(?)」かというと、全然リアルな象じゃないから。
 確かに鼻が長くて耳が大きい、でも体は人間。
 灰色の中の黒い影として描かれており、表情は分からない。
 これは本当に耳なのか、鼻なのか、象なのか、人間なのか、見れば見るほどこれが何なのか確信を持てなくなる。

 すごく怪しくて、奇妙で、魅力的だ。
 鼻で人をさらっていた。
 どこに連れて行くのだろう。

 美術館ではなく画廊なので、会場はそんなに広くない。
 平日だったのに、ずいぶん多くの人が見に来ていた。
 見たい絵を見るために、たまに人が移動するのを待たなければいけないくらいの混雑。
 不快なほどではなかったです。
 賑わってるな〜 と嬉しくなるくらい。

 あ、BGMがうるさいのが少々気になりました。
 美術館って音楽鳴ってないよね?(全然意識したことがなかった)
 それに慣れているせいか、
「絵に集中させて!」
 と思った。

 明日(日付としては今日)、翻訳家の柴田元幸さんをゲストに迎えてトークイベントをするらしい。
 いいないいなー(受付終了)

 展示は12月28日まで。
 公式サイトはこちら 
posted by 柳屋文芸堂 at 01:29| 美術 | 更新情報をチェックする

2013年11月13日

横浜トリエンナーレ

 来年の横浜トリエンナーレ、森村泰昌さんがディレクターを務めるらしい。
 キャーッ! 楽しみ〜!!
 公式サイトで発表されている文章、しょっぱなから素晴らしい。

 行き先は未知である。
 しかし横浜から舟は出港した。
 その船長が私だとしたら、正直なところ、舵取りはかなり危険である。


 しっかりー!
 森村さんの気弱さが心底愛おしい。
 横浜トリエンナーレは前々回のがいまいちで興味を失っていたのだけど、これはもう、絶対行く。
 森村さんのことだから、不安そうにしつつ突然とんでもないことをやり出してくれるはずだ。

 もし芸術の神様がいるとすれば、その神様に捧げる芸術作品が、
 なんら恥じる事のない供物であっていてほしい


 という言葉も素敵。
 私は恥じる事のない小説が書けているかなぁ、と省みる。
 けったいな行為(芸術)のために常に全力を尽くす森村さんの仕事を思う。
 いつも励まされている。

 横浜トリエンナーレが開催されるのは、2014年8月1日(金)〜11月3日(月・祝)
 公式サイトはこちら
 森村さんの文章はこちら
posted by 柳屋文芸堂 at 00:06| 美術 | 更新情報をチェックする

2013年10月19日

岡本太郎美術館

 今日は川崎市にある「岡本太郎美術館」へ行って来ました。
 青山にも岡本太郎の美術館がありますが、あっちは「岡本太郎記念館」です。

 岡本太郎美術館は、小田急線の向ヶ丘遊園駅から徒歩20分ほどのところにあります。
 川崎って、不便な場所にいっぱい美術館がある印象(川崎市市民ミュージアムとか)
 もうちょっと交通の便が良ければお客さんも増えるのになぁ、と残念に思う。

 「生田緑地」という林のような場所を通り抜ける。

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↑帰りに撮ったので日が落ちて暗い。

 美術館に入館する前に腹ごしらえ。
 附属のカフェテリア「TARO」で八穀米のヘルシープレートを注文。

R0025663.JPG
↑手前のは鶏のつくね。

 野菜たっぷりで美味しい。
 午後3:00という中途半端な時間なのに、ちゃんと料理を出してくれるのが嬉しいですね!

 食事後、美術館へ。
 展示室は照明を落としてあり、異空間へ入っていく感触がある。
 太郎の世界へ。

 私は岡本太郎が描く線が好きだ。
 赤い線も黒い線も黄色い線も、全てが炎のようで、そばに行くと熱く感じる。

 作品の意味を理解しているのかは分からない。
 作品の意味を理解しなければいけないのか、さえ分からない。
 でもそこにエネルギーがあり、こちらに容赦なく働きかけてくるのは確かなのだ。

「芸術は呪術である」

 「重工業」という作品には何故か長ネギが。主婦か!
 「誇り」は抽象的な立体作品なのに何だか泣ける。
 「にらめっこ」は日本の妖怪っぽい。

 年表も充実していた。
 そのために一部屋使い、展示も混ぜて解説している。

1946年 35歳 空襲により作品がすべて焼失したことを知る。

 という一文にショックを受ける。
 どれほど辛かったろう。
 しかし失ったものより、未来に作るもののことで頭がいっぱいだったかもしれない。
 60代、70代でも力強い作品を沢山発表してるもんな。

 有名な「坐ることを拒否する椅子」以外にも様々な椅子のデザインをしていたと知り驚く。
 どれも実際に座れました。もちろん坐ることを拒否する椅子にも。
 座りにくいっ

「生活の中の創造的な笑いである」

 笑って良いんだね!
 芸術と笑いを日常に。

 「踏まれることを拒否する青竹」がもしあれば踏んでみたい。
 血行が良くなって気持ち良さそう。

 駅から遠いのが難点ですが、その分混雑していないので、美術好きな方は一度行ってみると楽しいと思います。

R0025668.JPG
↑美術館の上にある「母の塔」

 これでまたしばらく元気に暮らせそうです。

※黄色い字の部分は展示の説明からの引用になります。
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posted by 柳屋文芸堂 at 03:36| 美術 | 更新情報をチェックする

2013年10月18日

平和を呼ぶ

 岡本太郎記念館でもらった、
「TARO MAP」
 という冊子に載っている、
「平和を呼ぶ」
 という作品(公園にあるモニュメント)の説明が印象的で、時折思い出す。

「平和は何もしないであるものではなく、強烈な意志をもって”呼ぶ”ものである」

 平和を叫ぶのではなく「呼ぶ」
 両手を大きく上げて、
「優しい風よ、こちらへどうぞ」
 とでも言うように。
posted by 柳屋文芸堂 at 01:00| 美術 | 更新情報をチェックする