2015年06月04日

狂言「若和布」、能「融」

 今日は千駄ヶ谷にある国立能楽堂で狂言と能を見てきました。
 北参道駅からも行けることを初めて知った。

 狂言「若和布(わかめ)」は、
「(海藻の)ワカメを買ってこい」
 と言われたのに、若女(わかめ=若い女)を買ってきてしまう、というお話。

 狂言の発想は毎度とんでもないな。
 住持(住職)役の佐藤友彦さんの身のこなしが美しかった。
 着物が乱れなくなびいて、お坊さんというよりプレイボーイみたい。

 能「融(とおる)」は、失われた風景と月光のお話(雑な説明でごめんなさい)
 セリフと現代語訳の載っている本を事前に読み、準備万端だったはずなのに、開始直後に猛烈な眠気が。
 狂言までは全然眠くなかったのに…… 能の催眠効果すごい。
 不眠症の人は試しに能のDVDを見てみたらどうか。

 何だか馬鹿にしているようだけど、
「能はね、眠くなったら寝て良いんだよ」
 と能に詳しい人に教えてもらったことがあるから、別に無理して目を開けておく必要もないのだと思う。
 でもやっぱりグーグー寝たらもったいないので、ウトウトしながら鑑賞しました。

 狂言や能の特殊な空間に入ると、心が少しだけ生まれ変わる感じがする。
 時折で良いから、また味わいたいな(寝るくせに)
 
posted by 柳屋文芸堂 at 00:34| 演劇・演芸 | 更新情報をチェックする

2015年02月23日

坂東三津五郎「踊りの愉しみ」

 歌舞伎役者の坂東三津五郎が亡くなりましたね。
 「踊りの愉しみ」という本の中にメッセージがあったのでお伝えします。

 一年に一度で構いませんので、読者の皆さんが着物を着て、歌舞伎をご覧になる、
 舞踊を愉しんでいただくだけで、何かが変わるのだと思います。
 皆さんの行動が、文化を守る。私はそう考えています。

 
posted by 柳屋文芸堂 at 23:12| 演劇・演芸 | 更新情報をチェックする

2015年01月22日

じゃがいも役者

 歌舞伎好きな方とおしゃべりした時の話。

「この間見た芝居に、○○(←役者さんの名前)が出ててさ、女役なんだけど、じゃがいもみたいな顔してるのよ」
「どんな顔ですか……」
「ほんと、見ればそう思うから!『またじゃがいもかー』って全然期待してなかったのに、その人が後ろ向いてよよよ…… っと嘆き悲しむ場面を見たら、胸がキューンとしちゃって」
「後ろ向いた途端にキューンとするって、失礼じゃないすか」
「『この人、顔はじゃがいもだけど、演技はメチャクチャ上手いんだ!!』って初めて気付いたんだよ。ファンになっちゃった」

 顔さえ見せなきゃ良い役者、ってどうなんだ。
 しかし後ろ姿で感動させるなんて、よっぽど仕草が女らしいんだろうなぁ。
 次に歌舞伎を見に行く時にはじゃがいもに注目だ。
 
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2014年11月30日

雲田はるこ「昭和元禄落語心中」に出てくる落語

 1巻
「死神」「応挙の幽霊」「宿屋の仇討ち」「出来心」
 2巻
「初天神」「鰍沢」「野ざらし」「黄金餅」「あくび指南」「夢金」
 3巻
「お染さん」「夏泥」「居残り」あと「弁天娘女男白浪(落語ではなく芝居)」
 4巻
「紙入れ」「子別れ」「死神」「野ざらし」「酢豆腐」
 5巻
「明烏」「芝浜」「野ざらし」「浮世床」「つるつる」
 6巻
「あくび指南」「錦の袈裟」「大工調べ」「居残り」

 自分用のメモで申し訳ない。
 そんなに沢山でもないし、全部見てみたいな。
 あと「昭和元禄」は高度成長期あたりのことを指すのだとつい先日知りました。
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2014年10月22日

狂言の女役、歌舞伎の白拍子

 日本の演劇は女装が発達していて素晴らしいよね!
 きらびやかな歌舞伎の女形や、能面を付けて演じる能の女役は割と思い浮かぶと思うけど、狂言の女装は意外と知られていないんじゃないかな?

 化粧も面も無しで、どこからどう見ても男にしか見えない人が、着物とカツラみたいなかぶり物だけで女を演じるの。
 男の娘指南本で言うところの「着たまま女装」ですよ。
(メイクや髪型を工夫せずに、女物の衣装を着ただけの女装。
 完成度が低くなるため避けるようにと書かれている)

 狂言は笑いが中心の劇なので、
「女になり切れてないだろ!」
 というツッコミも楽しみに含まれているのだと思う。
 うるさいおばさんの役なんか、この演じ方が妙にリアルに感じて、それも可笑しい。

 歌舞伎に出てくる白拍子もすごい。
 白拍子は男装の女芸人で、その芸能自体はすでに滅びている。
 しかし歌舞伎には白拍子が役として登場する。
(義経千本桜の静御前、京鹿子娘道成寺の白拍子花子など)

 歌舞伎役者は当然、男性。
 それが女装して、女形に。
 その女形が男装して、白拍子を演じるのだ。
 どうしてこんなに何度もひっくり返すの。

 今も昔も、男と女が重なったものに魅力を感じる人が多い証拠ですね。
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2014年07月05日

シネマ歌舞伎「女殺油地獄」感想

 シネマ歌舞伎の「女殺油地獄」を見てきました〜
 歌舞伎座のそばにある映画館「東劇」で、録画の歌舞伎を見られるのです。
 公式サイトの上映予定作品リストはこちら

 「女殺油地獄」はその名の通り、油まみれで女が殺される話。
 ストーリーはそれほど複雑じゃないのに、エヴァンゲリオン並みに謎だらけで、見終わった後呆然とした。

 主人公の与兵衛は大阪の油屋、河内屋の放蕩息子。
 芸者に入れあげ借金を作り、喧嘩沙汰を起こして親戚にも迷惑をかけてしまう。
 家に帰ると家族に暴力。

 そんなどうしようもない男だが、同業の油屋、豊嶋屋の若おかみお吉は、与兵衛をいつも心配しあれこれと世話を焼いてやる。
 勘当された与兵衛はお吉の店に行き、金を無心する。
 しかし断られ、カッとなって襲いかかる。

 実際はもっと沢山細かいエピソードが入るのですがまあ大筋はこんな感じ。
 この話の何が謎かというと、まず与兵衛の性格。
 暴力的なのに気が弱く、情にもろいのに残忍。
 衝動的で、自分がやることの結果を想像出来ないから、殺人の快楽に夢中になった直後に恐怖に怯える。

 物語の登場人物にしては一貫性が無さ過ぎるのだ。
 とらえるのが難しく、戸惑いを感じる。
 でも現実の人間にはもともと一貫性なんてない。
 すごくリアルだ。

 もう一つの謎は、与兵衛とお吉の関係。
 与兵衛はお吉に惚れているのか?
 お吉は与兵衛に惚れているのか?
 相思相愛なのを隠しているのか?
 それともお吉は大阪のおばちゃんとして、ごく当たり前の親切をしているだけなのか?

 与兵衛の性格と、与兵衛とお吉の関係は、演出や俳優の解釈によっていくらでも変えられる。
 もし与兵衛がお吉に惚れていたら、殺人の理由は金だけではなくなり、油まみれで組んずほぐれつ、の意味も変わってくるだろう。

 この殺しの場面で演奏される三味線の音が素晴らしいんだ。
 バイオリンのピッチカートを多用した現代音楽に似ている。
 聴く者を不安にし、心をざわざわさせる。
 この不吉な音楽と赤ん坊の泣き声が響く中、与兵衛はひざを震わせながら家中の引き出しを開けて金を集める。

 で、最後の謎。
 この与兵衛がお吉の店を出るところで話が終わっちゃうんだよ。
 「罪と罰」だったら話はここからなのに……!
 こんな酷い殺人をしておきながら、まんまと逃げおおせちゃうわけ?!

 調べてみると、捕まる場面もちゃんとあるみたいです。
 ただ、今回の上演では省かれていた。
 この方が想像をかき立てて私は好きだな。

 そう。「女殺油地獄」は想像の余地をたっぷり含んだ豊かな物語なのだ。
 一回見たからもういいや、ではなく、他の演出で、他の俳優で、他の媒体で(文楽や映画がある)見てみたい!
 色んな解釈を知りたい!
 そう思わせる。

 池澤夏樹が編集する日本文学全集では、桜庭一樹が女殺油地獄を現代語訳するそうですよ。
 これも楽しみだけど、私は舞城王太郎版の女殺が読みたいなぁ。
 ムチャクチャなのに同情してしまう暴力的なダメ男、と言ったら舞城でしょう。
 もちろん全部福井弁で。
posted by 柳屋文芸堂 at 01:24| 演劇・演芸 | 更新情報をチェックする

2014年05月30日

能「邯鄲」など(感想)

 今日は国立能楽堂に行って能を見てきました。
 長唄を習うようになってから歌舞伎を見ることが多くなり、能・狂言はご無沙汰だった。
 そうしたら何だかもう能が見たくて見たくてたまらなくなって、久々にチケット取りました。
 演目はこちら(国立能楽堂公式サイトのこのページからコピー)

仕舞 砧(きぬた)片山幽雪(観世流)
狂言 船渡聟(ふなわたしむこ)茂山逸平(大蔵流)
能  邯鄲(かんたん)夢中酔舞 片山九郎右衛門(観世流)


 能の中で歌われる謡(うたい)は長唄とお経の真ん中くらいな感じ。
 演劇と儀式。物語と宗教。
 そういうものが分かれずに混ざり合っている所が私にとっては魅力だし、能を親しみにくいものにしてしまう原因でもあるかもしれない。
 
 「仕舞」は能面や装束をつけずに一部の場面だけ演じるもの。
 「砧」は訴訟のために都へ行ったまま帰って来ないダンナさんを待ち続けて苦しむ奥さんの話。
 メロディ、特に高音になるところが美しくてうっとりした。

 狂言は私の心の故郷!
 茂山家のみなさんは相変わらず明るくほがらかな雰囲気。
 セリフのタイミングも現代的で、コントとしてもしっかり楽しめた。
 狂言らしい、福が来そうな良い声を響かせてくれました。

 「邯鄲」はざっくり言うと、冴えない現実から、素晴らしい夢の世界へ行き、また現実に戻ってくる話。
 この夢から醒める直前に音楽が早く激しくなり、宿の女主人が駆け寄ってきて扇でパンパンパンと枕元を叩いて起こすのだけど、ここがものすごく切なくて泣いてしまった。

 現実という悪魔が忍び寄ってきて夢を壊す感じが、妙にリアルなのだ。
「あ〜!!」
 って頭を抱えたくなるような。

 「邯鄲」は現代語訳の本が売っていたので、それを見ながら鑑賞しました。
 理解しやすくて良かったです。

 能、最高!!
posted by 柳屋文芸堂 at 00:22| 演劇・演芸 | 更新情報をチェックする

2014年01月11日

シネマ歌舞伎「春興鏡獅子」感想

 今日はシネマ歌舞伎の「春興鏡獅子」を見てきました。
 シネマ歌舞伎とは、歌舞伎の映像を映画館で上映するもの。
 全国あちこちでやっているようです。

 歌舞伎本編の前に解説やインタビューが入るのが分かりやすい。
 この作品、一昨年亡くなった十八世中村勘三郎が主役を務めているのです。
 新しい歌舞伎座での公演について語る肉声が流れて、切なかった。

 でも実は、勘三郎より子役二人にときめいてしまった(ごめんなさい)
 胡蝶の精の片岡千之助と中村玉太郎。
 演じた時には8歳(現在は13歳)
 小さな子があんなに長く踊るのを初めて見た。

 ちゃんと色っぽくてびっくり。
 もちろん可愛かった!!

 映像はズームがあるので、役者の姿や顔を大きく見られるのが良いですね。
 ただ、劇場の雰囲気が好きな私にはちょっと物足りなかったかも。
 (映像内の)客席がわーっと盛り上がって拍手喝采してるのに、自分は拍手出来ないなんて!!
 いや、しても良いんだろうけど誰もしてなかった……

 興味のある演目が出たらまた行ってみたいと思います。
 公式サイトはこちら
posted by 柳屋文芸堂 at 02:30| 演劇・演芸 | 更新情報をチェックする

2013年09月21日

吉原雀(歌舞伎座 幕見)

 歌舞伎座が新しくなってから初めて幕見をしましたよー!
 古い歌舞伎座の幕見体験記事(これ)の文章を流用しつつ、やり方を説明しましょう。

 歌舞伎というのは一日に一つの公演をやるのではなくて、沢山の演目が上演されます。
 「幕見」というのはその中の一つ(もしくは一部分)だけを見ること。
 歌舞伎座にしかないようです。
 チケットの前売りはなく、当日券で入ります。
 (詳細はこちら

【やり方】
1、歌舞伎座のホームページで、幕見席チケットの発売開始時間を調べる。
  公演情報の中にあります。9月はこれ
2、発売開始時間の前に正面入口の左側にある幕見席チケット売場に行き、並ぶ。
3、無事チケットを購入出来たら(売り切れになる場合もある)指定の時刻に幕見用の入口へ。
4、係員の指示に従って入場・観劇。

 今回、チケット発売開始時間の20分前に歌舞伎座に着いたのですが、すでに長い列が。
 入れないかも?! と焦ったら、吉原雀の次にやる「陰陽師」のチケットを買う人がかなり混ざっているらしい。
 「陰陽師」の発売開始時間は1時間以上後なのに。
 人気なんだなぁ。

 最後尾の後ろに並んでしばらくすると、確認の人が回って来た。
 吉原雀を見たいと告げると、カウンターをカチッと鳴らして(人数を数えている)
「お立ち見でもよろしいですか?」
 おお、入れるの確定! わーい!!

 チケットを購入し(吉原雀は800円。演目ごとに値段が異なる)指定の時刻までブラブラ。
 昼ごはんを食べたり、お茶を飲んだり。
 何しろ1時間40分も空いてるんだ。
 古い歌舞伎座ではチケットを買ってすぐ劇場に入れた気がするのだけど。

 指定の時刻に幕見用の入口へ行くと、おお、エレベーターが!
 前は無かったんだよね〜 4階まで階段登ったんだよね〜
 幕見が4階なのは変わってません。
 チケットの番号順に並んで劇場の中へ。

 立ち見。一番後ろには一段高くなっているお立ち台がある。
 私はこれに乗って見た。
 誰の視線も気にする必要がないので、思いっきりノリノリで体揺らしながら楽しみました。

 「吉原雀」に使われる音楽の種類は「清元」
 長唄にも同じ題名の曲があるので興味を持ったのだ。
 しかし…… 長唄の「吉原雀」とはメロディーがかなり違う気がした。
 じっくり聴き比べてみたいな。

 新歌舞伎座の幕見は準備に時間がかかってなかなか大変、という印象。
 それでもお手頃価格で歌舞伎体験が出来るので、やっぱり幕見はおすすめなのです。
posted by 柳屋文芸堂 at 04:06| 演劇・演芸 | 更新情報をチェックする

2013年05月23日

千作じいちゃんが……!

 狂言師の茂山千作さんが亡くなったそうです。93歳。
 千作さんの笑いの演技を見なかったら、狂言の面白さを知らずに生きていたかもしれない。
 狂言が私にくれたもの、それは「福」だ。
 幸福。祝福。福笑い。

 まさしく「福の神」でした。
 舞台から直接、福を分けていただいたこと、忘れません。
posted by 柳屋文芸堂 at 23:30| 演劇・演芸 | 更新情報をチェックする