2013年05月23日

千作じいちゃんが……!

 狂言師の茂山千作さんが亡くなったそうです。93歳。
 千作さんの笑いの演技を見なかったら、狂言の面白さを知らずに生きていたかもしれない。
 狂言が私にくれたもの、それは「福」だ。
 幸福。祝福。福笑い。

 まさしく「福の神」でした。
 舞台から直接、福を分けていただいたこと、忘れません。
posted by 柳屋文芸堂 at 23:30| 演劇・演芸 | 更新情報をチェックする

2013年04月21日

柿葺落四月大歌舞伎「弁天娘女男白浪」「忍夜恋曲者」

 柿葺落、行ってきましたよ〜

 「弁天娘女男白浪(べんてんむすめめおのしらなみ)」は正直、ちょっとぬるいかな? という雰囲気でしたが(若手の歌舞伎の方が緊張感があって好き)あの有名な、
「知らざあ言って聞かせやしょう」
 の名台詞が聞けたので満足。

 雲田はるこ「昭和元禄落語心中」という漫画の中で、落語家を目指す菊さんという男の子が、弁天小僧を演じる場面があるのです。
 Dちゃんと私はこの漫画が大好きで、
「菊さんの弁天小僧はさぞや色っぽかっただろうねぇ」
 と漫画と舞台を比べながら楽しみました。

 女形が男であることをバラして服を脱ぎ出す、という展開を考えた人は本当に天才だと思う。
 河竹黙阿弥なのかな。
 あの、舞台の上で成り立っていたお約束を自分から壊す感覚。
「えー?! いいのー?!」
 と。

 おじさんがやると落差が可笑しいし(今日は尾上菊五郎なのでこっち)、若手がやったらかなりエロいはず。
 ああ、菊さんの弁天小僧が見たいなぁ(線の細い美しい青年、という設定である)

 「忍夜恋曲者(しのびよるこいはくせもの)」は人生初の生の玉三郎だわ〜 というくらいで特に思い入れは無かったのだけど、この動画↓



 の中で使われている常磐津「将門」が聴けると分かってびっくり。
 人生、どこで何がつながるか分からないですね〜

 失敗したのは、玉三郎が傾城如月から滝夜叉姫(化け物)に変身するシーン、ウトウトして見逃しちゃった…… バカだ。本当にバカだ。
 今回は2階席だったので、いつか玉三郎はもっと近くで見たいです。

 そう、ぬるかったのは舞台だけじゃなく、観客席!
 お芝居が始まっているのにおしゃべりしている人がいたりして、落ち着かなかった。
 お祝いの意味が強い公演だからかもしれないけど、全体的にもうちょっとキリッとして欲しかったな。
 ま、途中でウトウトしてる人間が言っても説得力ないですが。

 あといきなり敵役としてカエルが出てきて、
「えっ、かえるくんは東京を救うはずなのに!」
 と混乱しました。
posted by 柳屋文芸堂 at 22:37| 演劇・演芸 | 更新情報をチェックする

2013年04月16日

心中天網島(しんじゅうてんのあみじま)

 大阪で見た文楽の感想を。
 いやー ダメ男って本当に最高ですね!

 妻と二人の幼い子どもがいるにもかかわらず、遊女小春と深い仲になってしまった紙屋治兵衛。
 治兵衛は小春と心中するつもりなのだけど、小春は治兵衛を家庭に戻し、一人で死のうと決めている。
 それを知った治兵衛の奥さんであるおさんの対応がすごい。
 自宅の着物を集めて質入れし、小春を身請けしようとするのです。

「小春が俺のものになるのはいいけどさ、お前どうすんの」
「あっ…… (自分の子どもの)乳母か飯炊きか隠居にでもなります……」
(ざっくり現代語訳)

 えー えー それで良いのー?!
 このおさんは貞女ということになってるらしいけど、単純に治兵衛に惚れてるんじゃないかなぁ。
 冷静に考えれば、仕事でも役に立たない(昼間から寝てばかりいる)治兵衛なんて、遊女と心中させちゃった方が楽なはずなのだ。
 でも、治兵衛と別れてくださいと小春に手紙を書いたり、小春に未練があるのかと治兵衛をなじったり、右往左往する。
 ダンナなんてどうでも良い、と思ってたらこんなに積極的に動かないと思う。

 もちろん当時の社会のルールは今と違うので、おさんが気にしていたことを正確に理解することは出来ない。
 ダンナより、遊女とのいざこざで商売が成り立たなくなることを心配していたのかもしれない。
 あと子どものこととか(夫が遊女と心中した場合、親権は誰のものになるのだろう?)

 しかし現代人としてこのドラマを見ると、
「ダメ男を愛してしまった二人の女の悲劇」
 として心を打つ。
 私はそういう風に解釈して感動した。

 ダメ男、大好きだもん!!
 私がいないとこの人はダメなのよ……

 一夫多妻が認められている国の人なら、
「え? 治兵衛とおさんと小春と子どもたちで仲良く暮らせば良いんじゃないの?」
 と首を傾げるのだろうか。

 文楽は深刻な場面が多いのかと思ったら、笑えるところもいっぱいあって楽しかった。
 治兵衛のライバル太兵衛のエア三味線とか、会場沸いてたな。

 心中ものなら大阪でしょ、とわざわざ国立文楽劇場へ行ったのに、東京の国立劇場でも5月に「心中天網島」やるそうです……
 興味のある方はチケット調べてみてください(こちら
posted by 柳屋文芸堂 at 23:27| 演劇・演芸 | 更新情報をチェックする

2013年03月20日

歌舞伎鑑賞について感じたこと

 歌舞伎の感想をネットで検索すると、ほとんどが役者の話で驚いた。
 格好良いか綺麗か。上手いか下手か。
 もちろん歌舞伎はスターを何より大切にする芸能で、役者が輝く名場面だけを抜き出して上演したりする。
 音楽を聴きに行く、という私の鑑賞方法は異端で極端だ。

 でも「歌舞伎鑑賞=役者の品定め」と思い込んでいる人が多いとしたらもったいないと思う。
 歌舞伎を形作っているのは役者だけじゃない。

 化粧、衣装、髪型、舞台美術、
 セリフ、ストーリー、音楽、音楽の歌詞、
 お客、掛け声、弁当、お土産、モナカアイス……

 ああ、こんなに素敵なものがいっぱいで、どこに集中したら良いの。
 華やかなもの、美しいものが受け止めきれないくらい贅沢に注ぎ込まれて、自分という小さな器からあふれ出してしまう。
 絢爛豪華な過剰さに、目を回してこその歌舞伎だろう。

 ファンが人気役者ばかりに注目するから、出演時間が増えて過労、ということもあるかもしれない。
 チケット売れないと困るもんね。
 もしそうだとしたら、歌舞伎の総体を愛することが、役者の健康につながる。
 みんなもっと長生きして欲しいじゃないか。

 歌舞伎で役者だけ見るなんて、バンドのライブでボーカルの声だけ聴くようなもの。
 ベースもいます。ドラムもいます。
 拍子木を打つ人もいます。
posted by 柳屋文芸堂 at 02:36| 演劇・演芸 | 更新情報をチェックする

2013年03月19日

観劇マナー

 Dちゃんは現在、仕事で東銀座の近くへ行くことが多い。

私「四月の杮葺落(こけらおとし)の時、休日出勤になっても安心だね。
 『歌舞伎見に行ってきます!』
  って言って抜けて来れば良いんだよ」
D「そして隈取りして待ち合わせ場所に登場」
私「観客は隈取りいらない」

 友人と能を見に行った時も、
友「何持って行けば良いんだろ…… 烏帽子?」
私「観客は烏帽子いらない」
友「後ろの人に迷惑だよね〜」
 という会話があったな……
posted by 柳屋文芸堂 at 01:34| 演劇・演芸 | 更新情報をチェックする

2013年03月16日

三月花形歌舞伎(一條大蔵譚 二人椀久)

 新橋演舞場の三月花形歌舞伎・夜の部へ行って来ました!!
 気合い入れ過ぎて一階一列目、花道から三つ目というとち狂った席を取ってしまい、舞台をずっと「見上げる」ことになり、首が痛くなりました。
 もちろん、役者さんをすぐそばで見られて最っ高!でした。

 前半の演目は「一條大蔵譚(いちじょうおおくらものがたり)」
 ベースになっているのは平家物語の世界。
 源平の争いに巻き込まれないために阿呆のふりをしている公家の大蔵卿が、源義朝の愛人や家臣を助ける、というお話。
 阿呆として登場しふざけ尽くした大蔵卿が凛々しくなり、また再び阿呆に戻ってゆく、その変化が一番の見もの。
 ふと思ったんだけど、大蔵卿ってバカ殿様の元ネタ?
 バカ殿様はずっとバカのままだけど。

 大蔵卿をやってる人、ずいぶん上手だなー と思ったら、市川染五郎でした。
 私は基本的に音楽を聴くために歌舞伎に行くので、役者の顔と名前をあまり覚えません。
 いつも顔真っ白だしさー
 家にテレビがないから普通のドラマに出ている所も見ないし。
 歌舞伎の話になっても役者の話についていけなくて恥ずかしいです。
 
 女狂言師のお京も綺麗ねぇ、と名前を見たら中村壱太郎(かずたろう)
 邦楽ジョッキー(NHK-FMの番組)のDJか!
 声だけは毎週聴いてる。
 あんたそんな美人だったの。知らなかったわ。

 この「一條大蔵譚」の音楽、義太夫と黒御簾の長唄が交互に鳴る所がゾクゾクしたなぁ。
 義太夫のねっとりした音色と、長唄のさらりとした音色。
 義太夫は全部で四組(語り一人・三味線一人で一組)出て、最後の二組は頭の血管が切れそうな凄まじい語り方。
 上演後の安否が気遣われます。
 まあ、義太夫っていつもそんなだが。

 後半の演目は「二人椀久(ににんわんきゅう)」
 お芝居ではなく舞踊。
 長唄がストーリーと情感を表現し、セリフは一切無しです。
 これのために一等席を取ったのですよ〜
 もう本当に、この曲、名曲!!



 大阪の豪商である椀屋久兵衛は、遊女松山に入れ揚げ、座敷牢に閉じ込められる。
 発狂した久兵衛は座敷牢を抜け出しさまよい歩く。
 するとそこには愛しい松山が。
 羽織と裲襠(うちかけ)を交換し、幸福に、愛を確かめ合うように踊る二人。
 しかし音楽と感情がクライマックスに達した瞬間、松山は久兵衛の前から消えてしまう。
 一人残された久兵衛の、寂しくあわれな姿…… 幕。となります。

「じゃらくら、じゃらくら♪ じゃらくら、じゃらくら♪」
 という印象的な歌詞があって、ここで松山が消えるのね。
 涙がポロポロ出ました。
 ずーっと憧れていた「二人椀久」を見ることが出来た喜びと、久兵衛の悲しみを思って。

【じゃらくら】
 なまめかしく戯れあうさま。でれでれ。じゃらじゃら。(大辞泉より)

 とのこと。ツンデレはツンジャラになるのか。

 今回、失敗したなー と思ったのは、松山が登場する場面。
 会場がどよめいたので、私は花道から出てきたのかと後ろを向いちゃったんだよね。
 ん? と思って前見たら松山が奈落からせり上がって来てた。
 バカだ私……

 「二人椀久」の三味線は超絶技巧ソロが長々と続く大変な曲。
 何度も聴いてるけど(生で三回くらい、録音だと百回以上)演奏したことはない。
 美しさ、激しさ、格好良さでは長唄随一だと思う。
 いつかこれをやれるくらいの力を身につけたいものです。

 三月花形歌舞伎、まだチケットあるみたいなんで興味ある方はどうぞ。
 (公式サイトはこちら

 新橋演舞場の最寄り駅は東銀座なので、歌舞伎座も見て来ましたよ〜

写真.JPG
↑東銀座駅。というか歌舞伎座地下? 境目が分からない。

 実は四月の杮葺落(こけらおとし)のチケットもちゃっかり取ってあるのです〜
 ぐふふふ。
 Dちゃんと一緒に行く予定。
「Dちゃんは男だから掛け声かけてみれば? 私は女だからやれなくてつまんないよー」
 と言ったら、
「のりなら男のふりして声かけられるから大丈夫。僕より確実に低いじゃん」
 そう言えば私の声の低さは科学的に証明されているんだった……
posted by 柳屋文芸堂 at 13:56| 演劇・演芸 | 更新情報をチェックする

2013年01月05日

中村獅童と立川志の輔

 三味線発表会の話の続き〜
 ゲスト出演の、中村獅童と立川志の輔の舞台も見ることが出来たのです。
 豪華……!

 中村獅童は舞踊「雨の五郎」
 素踊りというのかな、派手な衣装を一切着けずに踊るのだけど、それでも彼は一分の隙もなく「歌舞伎役者」だった。
 バン! と大きな音を立てて地べたを踏むたび、神事を行なっているような厳かな気分になる。
 おっちょこちょいのヤンキーみたいな役をやると光り輝く獅童ちゃん。
 本業は二枚目なのね。

 立川志の輔は長唄「たぬき」
 唄い始めた途端、会場に笑いが起こった。
 下手だからじゃない。志の輔が、
「ここからは笑ってもいいんですよ」
 という雰囲気を舞台上に創り出したからだ。

 歌舞伎役者のピリッと張りつめた空気と、落語家のほがらかであたたかい空気。
 二つを同じ舞台で並べて見る機会なんて滅多にない。
 貴重な体験でした。
 
 最後の挨拶の時、中村獅童は周囲を褒めつつ自分と歌舞伎の宣伝もきっちりやって、さすがプロ。
「新しい歌舞伎座が出来たら行かなきゃ」
 って思ったもんね。
 幕が降りる直前に、パパッと短く手を振ったのがお茶目で素敵だった。

「獅童ちゃんは私に手を振ってくれたのよっ」
 と叫んだら、三味線仲間に、
「おばちゃんみたい」
 とあきれられてしまった……
posted by 柳屋文芸堂 at 00:37| 演劇・演芸 | 更新情報をチェックする

2012年09月05日

浦安市民のみなさーん!

 浦安市民限定の立川志の輔チャリティー落語会、まだチケットあるそうですよー

9/8(土) 開演18:00(開場17:30)
場所 浦安市文化会館 大ホール
入場料 2,500円(全席指定)
チケット販売場所 浦安市文化会館 浦安市民プラザ 浦安市総合体育館 浦安市中央武道館

 私は浦安市民ではないのですが、三味線の先生が出演するのでお知らせ。
 この値段で志の輔が聴けるなんて、破格だと思う。
 浦安の人が偶然ここを見ていることを祈る。
posted by 柳屋文芸堂 at 22:29| 演劇・演芸 | 更新情報をチェックする

2012年08月07日

粗忽長屋

 今日は、落語のCDを聴きながら夏コミの新刊を製本しました。
「粗忽長屋」
 が面白かったな〜
 行き倒れになった熊さんを、熊さん本人が確認する話(Wikipediaの説明はこちら

 これ、単なる勘違いなのかな?
 「粗忽」と言うからにはそうなのだろうけど、生きているのも死んでいるのも本当に熊さんだとしたら、SFだよね!
 シュールで秀逸〜
posted by 柳屋文芸堂 at 00:51| 演劇・演芸 | 更新情報をチェックする

2012年06月19日

志の輔らくご in PARCO vol.9(2004年)

 志の輔のPARCO公演のDVD。
 日本人の行動原理の一つ「悪いな」を茶化しつつ愛おしがるマクラがまず印象的。
 相手を思いやり過ぎて、間違ったこともついやっちゃう、という。

 そのあと続くのは「こぶ取り爺さん」
 日本昔ばなしについて外国人からツッコミを受け、翻訳者の家族が大混乱に……
 というドタバタ劇。とにかく楽しい。
 確かに「こぶ取り爺さん」って変な話だよね。

 次は私がこのDVDで一番見たかった「歓喜の歌」
 ママさんコーラスを舞台にした人情劇で、映画にもなりましたね。
 私も家事をやりながら三味線をやっているので、共感しました。
 社会人になってからやる音楽って、学生やプロとはまた違う切実さがあると思うのだ。
 世知辛いこの世を生き抜くための力を得る手段、というのかな。

 最後は古典落語の「浜野矩随」
 この噺がもうっ 痛かった!!

 浜野矩随は「はまののりゆき」と読みます。
 人の名前ですね。
 小さな彫り物を作る職人さんです。
 父親は名人なのに、息子の矩随は彫っても彫ってもクズばかり。

 見るに見かねた道具屋が説教するんだけど、あまりにも身に沁みたので書き取ってみた。

 お前さん、誰かに頼まれてやってるのかい、この仕事を。
 そうじゃねぇんだろうよ。
 好きでやってんだろ。やりたくてやってんだろ。
 やりたくてやってて腕が悪いたどういうこったい。
 
 腕の悪い職人なんざ死んじまった方がいいやな。
 一生懸命こんなにゴミこしらえて何がどうだっていうんだよ。
 甘えるのはいいかげんにしてくれ。


(話し言葉なので、繰り返しなど省略している部分があります)

 下手クソな小説を何度も何度も賞に送っては落選し続けている私としては、
「はうー!!」
 ですよ。

 修行中の落語家さんも、悶絶するんだろうな〜
 特に「親が名人」の落語家。
 あの人とか、あの人とか……
 うう、想像するのも恐ろしい。

 最終的に矩随も名人になるのですが、その転機となった作品に対して、道具屋が、
「魂が入ってる」
 と言うのです。
 同じ「物」でも、魂が入っていなければただのゴミだし、魂が入っていれば誰もが競って欲しがる。

 魂の入った小説を書くにはどうすればいいのかな……
 なんてことを考えました。
 もちろん頑張らなくちゃダメなんだけど、頑張るだけじゃダメなんだ。

 道具屋のおやじも、良い人のようでちょっと手前勝手でもあり、ステキでした。
 演じる人によって登場人物の性格が変わるのも、落語の面白さですね。
 志の輔が演じる人間は、みんなあったかくて好き。

 このDVD、Amazonでも買えるようです(これ
 他のも欲しいな〜
posted by 柳屋文芸堂 at 10:47| 演劇・演芸 | 更新情報をチェックする