2017年02月14日

「LOVE〜写真家レスリー・キーの世界」感想

 下の記事に書いたような部分があって、撮影や編集の工夫でもう少し深みのある作品に出来たんじゃないかと残念に感じた。
 映画ではなくどこかで放送された番組だったみたいだから、仕方ないのかなぁ。

 若い頃に働いていたシンガポールの日系企業で日本文化に憧れ、山口小夜子に見出されたというレスリー・キーの経歴は面白いと思った。
 またどこかで写真を見る機会もあるかもしれないから、名前を覚えておこう。
 
posted by 柳屋文芸堂 at 15:41| 映画・映像 | 更新情報をチェックする

映像作品を見ていて時々気になること

 言葉で説明し過ぎている映像作品、というのが時々ある。
 たとえば、
「彼は人を虜にする話術を持っている」
 とナレーターが入れちゃったりするの。
 映像なんだから、その彼が話術で人を虜にしている「場面」を実際に見せないとダメだろう。

 小説を書く時によく言われる「説明しないで描写しろ」というのはこういうことか。
 
posted by 柳屋文芸堂 at 15:15| 映画・映像 | 更新情報をチェックする

2017年02月13日

映画「ファッションが教えてくれること」感想

 雑誌「VOGUE(アメリカ版)」の編集長、アナ・ウィンターのドキュメンタリー。
 プラダを着た悪魔、のモデルらしいです(今度そっちの映画も見てみよう)

 何より印象に残るのはアナのファッション。
 けっこう年配なのに(撮影時に60歳くらいかな)どの服も可愛くてピシッ!と似合っている。
 雑誌のモデルが着ている服が霞んでしまうくらい、彼女の服は全部素敵だった。

 アナと対比するように登場するのが、クリエイティブディレクターのグレース。
 「美しさ」を何より大切にし、少々懐古主義的なところがあるグレース。
 彼女が丹誠込めて仕上げた誌面を、アナはザクザクとボツにしていく。

 私が共感したのはグレースだけど、売れる雑誌を作るためには、退屈なものを切り捨てていくアナの力が必要なんだろうな。

 流行という不確かなものを相手に戦い続ける恐ろしさ。
 「美」という変わらぬ価値を生み出しているという自信。
 すごく遠くて、すごく近いから、私はファッションに憧れる。
 
posted by 柳屋文芸堂 at 15:28| 映画・映像 | 更新情報をチェックする

2017年02月01日

映画「アトムの足音が聞こえる」感想



 アニメ「鉄腕アトム」の音響効果を担当していた大野松雄のドキュメンタリー。
 アトムが歩いたり、飛んだりする時の音を作り出した人。

 文章で書くと分かりにくいけど、聞けばすぐ、
「あー! これね」
 となるはず。よく知られた音だ。

 最初、大野松雄不在のまま、大野をよく知る音響関係者たちへのインタビューが続く。
 大野はもうこの世にいないのか?
 少なくとも同じ職場で働き続けているわけではないらしい。

 大野松雄のその後が明らかになった瞬間、背中がゾクッとした。
 この人は本質的なことしかやらないし、やれない。
 嘘臭い場所からは自然と離れ、音の根源に引っ張られてゆく人生なのだと思った。

 あれこれ要求してくる手塚治虫に向かって、
「おたくは映画に関してはど素人だ。素人は黙っててくれ」
 ときっぱり断った話とか、なかなか凄かったですね。
 頑固な天才たちの戦い。

 音響職人の技と、芸術家の生き方。
 一本で二つの映画を見たような満足感でした。

 そうそう、途中でレイ・ハラカミが出てきます。
 彼の元気な姿が見たい、という方もぜひどうぞ。
 
posted by 柳屋文芸堂 at 16:51| 映画・映像 | 更新情報をチェックする

2017年01月30日

映画「世界一美しい本を作る男―シュタイデルとの旅―」感想



 ドイツにある小さな出版社「シュタイデル社」のドキュメンタリー。
 写真集に力を入れているようですが、ギュンター・グラスの小説なども出しているようです。

 作り手の意図に合った本にするために話し合いを重ね、紙や印刷方法、判型を決めてゆき、納得のいく色が出るまで何度も試し刷りをする。
 規模は違っても同人誌作りで同じようなことをするので、その感覚はよく分かる。

 私は本作りがあまり好きではなく、考えているうちに飽きてしまい、
「ま、これくらいでいっか」
 と適当なところで工夫するのをやめてしまう。

 シュタイデルさんは絶対そんなことしない。
 こういう紙がある、こういう装丁の案がある、見てくれ選んでくれと本の作者にどんどん迫る。
 中途半端な本になんてするものかという強い意志がみなぎっている。

 見ていて感心したのは、何もかもを上質なものにする訳ではないところ。
 安くするための提案もするし、わざと下品なデザインの紙を使って効果を出したりもする。
 何より大事なのは「物としての本」が「本の中身」をきちんと表現出来ているかどうか。

 私も同人誌を作る時に、シュタイデルさんの本への愛情を思い出すようにしたい。
 しかしシュタイデルさんにも負けない本作り狂がわんさかいる同人誌の世界ってとんでもないよね……
 
posted by 柳屋文芸堂 at 17:01| 映画・映像 | 更新情報をチェックする

2017年01月27日

映画「ヴィダル・サスーン」感想

 偉い人のことを偉い偉いと褒め称えるドキュメンタリー映画が時々ある。
 これもそんな感じだった。
 言葉で偉いすごいと言うのではなく、
「○○を△△にしたから偉い」
 ということを映像で見せて欲しかった。
 特にビフォアの○○をしっかり示さないから、ヴィダル・サスーンの革新性がくっきりと見えてこない。
 △△が当たり前になった世界で「△△はすごい」って言われてもねえ。
 ファッション史の映画としてもう少し面白く作れたような気がして残念。
 
posted by 柳屋文芸堂 at 16:44| 映画・映像 | 更新情報をチェックする

2017年01月19日

「日本で一番悪い奴ら」DVDプレミアム・エディション感想

日本で一番悪い奴ら DVDプレミアム・エディション(初回限定生産) -
日本で一番悪い奴ら DVDプレミアム・エディション(初回限定生産) -

 この1週間は1月11日に発売された「日本で一番悪い奴ら」のDVDに夢中で、この映画の主人公と同様に廃人のようになっていました。
 本編は映画館で見ているので(その時の感想はこちら パンフレットについての感想はこっち)DVDはどうしようかな〜 と悩んでいたのだけど、買って良かった!

 注文する時「デジパック仕様」というのがよく分からず、DVDのケースが大きいのかと心配していた。
 届いてみると、サイズは普通のケースと一緒でホッ(邪魔にならない)
 厚紙を使ったケースのことをこう呼ぶようです。知らなかった。

 ブックレットはパンフそのままの部分も多かったけど、ロケ地マップが充実していた。

 本編ディスクのオーディオ・コメンタリーが特に中毒性がすごい。
 綾野剛主演映画を綾野剛が解説し続けるんだもの。止められない。
 家事をやりながら繰り返し聴いている。

 特典ディスクのメイキングでは脚本家の池上純哉のコメントが印象的だった。

「原作に『裁判になっても、北海道警は自分を守ってくれると思っていた』というのがあって、それを読んだ時に、映画になると思った。あれだけのことをしても、組織の中の考え方で彼はずっといて、それが自分を守ってくれると信じていた」

 私は「自分が知らない価値観で動く世界」に興奮する。
 「今、自分がいる場所」の常識が絶対的なものではないことを教えてくれるから。
 私を縛っているものを壊してくれる気がする。
 「日本で一番悪い奴ら」にもそういう要素があるから、これだけ惹かれたんだ、と気付いた。

 終わりの方、悪徳刑事・諸星であったはずの綾野剛が「怒り」の直人そっくりにうずくまっていてどきりとした。
 いやまあ、同じ人が演じているのだからそっくりなのは当然なのだけど、体の形だけでなく、彼の発している空気が同じだったのだ。
 諸星と直人は全く違うタイプのキャラなのに。

 諸星でも直人でも、綾野剛は人間が本質的に持っている「寄る辺なさ」を見事に表現している。
 それによって見る人の心を震わせられるから、これだけ人気があるし、私も好きになったんだな、と思った。 

 舞台挨拶の撮影裏話も楽しいです。
 映画館行ってパンフも読んでメイキングも見て「日本で一番悪い奴ら」しっかり味わったな〜
 満足♪
 
posted by 柳屋文芸堂 at 00:32| 映画・映像 | 更新情報をチェックする

2017年01月04日

映画「のぼうの城」感想



 埼玉県行田市にかつてあった忍城(おしじょう)の物語。
 城の人たちと村人たちの距離が近くて、風の谷のよう。
 田植えを終え、村中が緑に輝き、城主のいとこである「のぼう様」も喜び踊っている。

 そんな田舎城に、豊臣秀吉の軍が攻めてくるという。
 どうしてここで戦わなきゃいけないのと切なくなった。

 この時代の戦い方ってえげつないんですね〜
 鉄砲ガンガン使うし、油をまいて火を付けたりもする。
 挙句の水攻め。
 小さな城一つを落とすために、あたり一帯を水浸しにするなんて、石田三成、酷くないですか……

 のぼう様を演じたのは狂言師・野村萬斎。
 戦うのが当たり前の時代に「平和に楽しく暮らしたい」と願うのは、まさに狂気。
 まっとうで、だからこそ愛される狂いっぷりを、舞と歌で見事に見せてくれました。

 戦いの話だから、当然死者も沢山出てくる。
 それでものぼう様の祝祭的なキャラと演技のおかげで、正月最初に見る映画にぴったりでした。
 何も考えずに選んだのだけど。

 最後の方に現在の行田市の映像が流れてニヤニヤ。
 のぼうの城に行けなかった行田旅行記(これ)もぜひどうぞ〜
 
posted by 柳屋文芸堂 at 17:02| 映画・映像 | 更新情報をチェックする

2016年12月27日

映画「帰ってきたヒトラー」感想

 ヒトラーが現代によみがえったら、というコメディ映画。
 途中「これ演技なの? え? え?」となるところがあって、後で調べてみたらドキュメンタリーの手法を取り入れていたことが分かった。
 ヒトラー役の人がヒトラーの格好・人格のままで、街の人々や政治活動をしている人たちと会って話す。
 その部分はおおむねアドリブであるらしい。

 現代人というのは、独裁者だろうと噴火してる火山だろうと、とりあえずスマホを向けるんですね。
 危険かどうか考える前に、いつもと違う特別なものがあったら撮らずにはいられない。

 みな口々に移民への不満を述べ、ヒトラーを大歓迎しちゃう人もけっこういて、これ演技じゃないんだ、と思うとニュースの向こう側が見えたようでゾッとした。
 何百万人死んでいようと、他人の死は痛くも苦しくもない。
 他人の死に共感出来るのは、余裕のある人が良心的な想像をした時だけだ。

 そして今、世界には、余裕のない人々があふれ返っている。
 自分が言えないことを言ってくれて、やれないことをやってくれる人を切実に求めている。

 余裕のない人を増やさないよう社会を変えてゆくのは簡単ではなく、何かやっても効果が見えにくい。
 勇ましいことを言ったり、そういう人を支持したりする方がラクだ。
 それでも、どんなにささやかであっても、自分で出来ることを探さなければいけないのだと思う。

 さもなければ、ヒトラーは何度でもよみがえる。


 
posted by 柳屋文芸堂 at 16:30| 映画・映像 | 更新情報をチェックする

2016年12月14日

映画「イヴの時間」感想

 人間とアンドロイドを区別しない、というルールを掲げた喫茶店が舞台の、近未来SF。
 論理的に話さないと納得してくれない旧型のアンドロイドがDちゃんみたいでウケた。
 他のアンドロイドたちはあまりにも人間的で、ちょっと私の好みじゃなかったかな。
 みんな優しくてあたたかくて可愛かったけど。

 私も人の話に矛盾が見つかると思考が止まったりするので、我々はアンドロイドよりアンドロイドな夫婦なのかもしれない。


 
posted by 柳屋文芸堂 at 18:00| 映画・映像 | 更新情報をチェックする