2019年04月05日

映画「ユーリー・ノルシュテイン《外套》をつくる」感想



 ロシアのアニメーション作家、ユーリー・ノルシュテインを追ったドキュメンタリー。

 彼は30年以上前から、ゴーゴリの小説「外套」のアニメ化に取り組んでいる。
 世界中のファンが楽しみに待っているが、いまだ完成していない。
 アニメ界のサグラダ・ファミリアである。

 未完の理由は種々ある。
 生活や制作を支えていたソビエト連邦が崩壊したこと。
 ノルシュテイン本人や仲間のアニメーターたちが、老い、病気になったこと。
 重要なスタッフが亡くなったこと。

 しかし最大の要因は、ノルシュテインの頭の中にある「外套」の理想が高過ぎるのだ。

 日本では、アニメ、漫画、小説、映画、ドラマ等々、新しい物語が続々と生産され、消費されていく。
 私は時々不思議に思う。
 物語というのはこんなに必要なものなのだろうか?

 小説を書きたい人がよく聞くアドバイスに、
「とにかく完成させろ」
 というのがある。たとえ納得出来ない部分があっても、気にせず終わりまで書いてみろ、と。

 確かに完成させてみなければ欠点も美点も見つけようがなく、見つからなければ直せない。
 それは分かるのだが違和感もある。
 自分の理想を低く設定すれば、作品なんていくらでも作れてしまう。

「こんな作品を作りたい」
 という高い望みと、自分の技術の戦いこそが「創作」なのではないだろうか。

 この映画の中で見られる「外套」の一部分は本当に美しい。
 脱げかけた靴下を履き直す、というたったそれだけの行為が、温度や手触りをともなって、あんなにも豊かに表現されるとは!

 早く作る。数をこなす。
 そんな価値観に支配されたこの世界において、ノルシュテインの「外套」は、創作の本質を教えてくれる貴重な存在だと思う。

 公式サイトはこちら
 ノルシュテインのアニメ作品(完成しているもの)の上映もあるので、見たことのない方はぜひどうぞ。


 
posted by 柳屋文芸堂 at 00:39| 映画・映像 | 更新情報をチェックする

2019年03月27日

2007年に見た映画

3月31日でサービス終了するジオシティーズにあった記録。

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コープス ブライド
切ない映画だった。死者の花嫁がCoccoみたいでとても魅力的。

2001年宇宙の旅
すごーく良かった!

うる星やつら2 ビューティフル・ドリーマー
Dちゃんに見せたくて借りて来た。面白いと言ってもらえて満足。

王と鳥
「ロバと王様と私」のシーンと、盲目の音楽家がライオンの心をとらえるシーンで泣いてしまった。あまりの美しさに。Dちゃんに「汗かいてるの?」と勘違いされた。違うわい。

ライフ・イズ・ビューティフル
まあまあかな〜 イタリア語を聞くのは楽しかった。

未来世紀ブラジル
面白かった。訳が分からないシーン満載で。

ナビィの恋
沖縄らしいおっとりした映画だった。

チェコアニメ映画祭 プログラムC・D
短編をたっぷり。ウラジミール・イラーネクという人の関わっているものがどれも良かった。庵野秀明の「じょうぶなタイヤ」とか、しりあがり寿の本人が出て来る漫画を思い出した。シンプルで真面目で楽しいところが。他の作品はけっこうブラックで、それも面白かった。
 
posted by 柳屋文芸堂 at 17:56| 映画・映像 | 更新情報をチェックする

2006年に見た映画

3月31日でサービス終了するジオシティーズにあった記録。

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チェブラーシカ
哀愁たっぷりですごく良かった。今年は「のり子におけるロシア年」にすると決定。

シュレック
正月見るのにぴったりだった。浜ちゃん吹き替えバージョンが良い。

シュレック2
これも正月に。

ブレードランナー
原作の宗教部分がまるっきり削られててびっくり。その後の日本アニメに強い影響を与えたのが分かった。これはこれで良いけど、私は原作の方が好き。

博士の異常な愛情
三谷幸喜が「理想のコメディー映画」と紹介していたので見た。メチャクチャ面白かった。ストレンジラブ博士最高!! 今年は「のり子キューブリック元年」だ。色々忙しい。

マイノリティ・リポート
すごく豪華なB級映画、って感じだった。

現金に体を張れ
犯罪部分がちょっと分かりにくく感じた。

ハウルの動く城
本当に城が主人公って感じだった……

スター・ウォーズ エピソード1 ファントム・メナス
スター・ウォーズをエピソード1から見る人って珍しいらしい(4、5、6が先に出てるから)今まで何で見なかったんだろう? 避けてた訳じゃないんだが。機械と人間と不思議な生物が入り混じって暮らす様子が面白い。

スター・ウォーズ エピソード2 クローンの攻撃
C3POとR2D2(で合ってるかな?)がとにかく可愛い〜 ヨーダの強さに驚いた。杖はつかなくても良いんじゃないか?

スター・ウォーズ エピソード3 シスの復讐
本筋そっちのけでヨーダに夢中。

ロスト・チルドレン
何ですかあのミエットの色っぽさは! 子供なのに大女優のような演技だった。ノミ使いのおじさんも良かった。出演時間は少ないのに、みじめな人生への後悔がにじみ出てて。歌丸似の「ボス」がサンタの格好で歌うところがすごくすごく怖かった…… 思い出してもヒー!

スター・ウォーズ エピソード4 新たなる希望
古い作品だから技術的にしょぼくてガッカリするかと思ったら、ぜーんぜんそんな事なかった。面白かった〜! C3POとR2D2も大活躍だし! ただ……ヨーダが出て来なかったのが悲しかったよぉ〜

スター・ウォーズ エピソード5 帝国の逆襲
あらいやだ。記録し忘れてた。ずっと前に見たよ。一話で完結していなくて驚いた。あのシーンが良かったね!(どこだよ)

スター・ウォーズ エピソード6 ジェダイの帰還
精神的悪との戦いが良かったねぇ〜

SAW
なかなかハラハラさせられるB級映画だった。
 
posted by 柳屋文芸堂 at 17:50| 映画・映像 | 更新情報をチェックする

2018年09月21日

映画「ビル・カニンガム&ニューヨーク」感想



 ニューヨーク・タイムズ紙でファッション・コラムを担当していた写真家、ビル・カニンガムさんを追ったドキュメンタリー映画。
 ストリートファッションも、有名人が集まるパーティーも、デザイナーたちのファッションショーも、分け隔てなく撮影するビル。
 彼のように、自分の審美眼だけでものを見られる人は、貴重だ。

 多くの人は、
「権威のある人が良いと言っていたから良いのだろう」
 と判断を他人まかせにしている。
 100%まかせてはいなくても、どこかで他人の価値観に頼っている。

 ビルのお金に対する考え方にも共感した。
 お金をもらうことで不自由になることが、どれほどの損失か。
 ビルは常に笑顔でやれる仕事しかしない。

 写真が好きな人だけでなく、おじいちゃん好きにぜひ見てもらいたい映画。
 ビルは本当に格好良くて、可愛い。

 どこかでビルの写真展をやってくれないかな〜
 
posted by 柳屋文芸堂 at 00:54| 映画・映像 | 更新情報をチェックする

2018年08月25日

映画「メットガラ ドレスをまとった美術館」感想



 映画「オーシャンズ8」の舞台になっているメットガラのドキュメンタリーを見てみました。
 メインはパーティーではなく、メット(メトロポリタンミュージアム)で開催される服飾部門の展覧会「鏡の中の中国」の準備。
 ファッションデザイナーが夢見た中国、過去の中国、現在の中国。
 政治的に難しい部分もあり、関係者たちの意見はまとまらず喧喧囂囂。
 開催日が近づくにつれクタクタになっていくキュレーター。
 これで泥棒まで入ったらたまんないよね……

 ファッションはアートではないのではないか、という議論もあるという。
 アートって、何だか面倒くさい単語だよねぇ。
 アートを「技術の粋を尽くした美しいもの」として使えば褒め言葉になるけれど、
 「芸術家が自分勝手に表現したもの」ととらえれば、ファッションデザイナーは、
「俺たちゃ自分のためじゃなく、客を喜ばせるためにやってんだ」
 と腹を立てるだろう。

 デザイナーのジョン・ガリアーノの言葉がすごく良かった。
「アートかどうかは分からないが、あの技術や創造性を思うと… すばらしいものを創り上げたと感じる」
 そう、絵だろうが服だろうが、「すばらしいもの」が素晴らしいんだよ!
 みんな美術館で「すばらしいもの」が見たいんだ!!

 アナ・ウィンターの服は相変わらずどれもこれも最高に美しく似合っている。
 そして相変わらずびしばし気に入らないものを切り捨てる。
 意地悪なのではなく、醜いものが許せないのだ。
 ああいう美意識がしっかりある人、好きだな〜

 リアーナも本当に綺麗で、可愛らしいとも思った。
 オーシャンズ8を気に入った人は、こちらの映画も見てみると良いんじゃないかな。
 あの事件が起きたら、キュレーターさんショックで気絶するだろうね……
 
posted by 柳屋文芸堂 at 23:01| 映画・映像 | 更新情報をチェックする

2018年08月24日

映画「オーシャンズ8」感想



 Twitterで話題になっていたので、





 面白そうだな〜 と調べてみたら、雑誌「VOGUE(アメリカ版)」の編集長、アナ・ウィンター(プラダを着た悪魔のモデルと言われている)が関わっていることが分かり、



 これは見に行かねば! となったのでした。
 アナが主催するファッションの祭典「メットガラ」を、アナのセッティングで再現したそう。
 とにかく豪華で、色もデザインも様々なのに、不思議と統一感がある。
 ドレスと会場(メトロポリタンミュージアム)を見ているだけでうっとりした。

 アナ・ウィンター(本人)がテニスの試合を見ていて業務を疎かにする、という場面が出てきて、
「こ、これは間抜けなアナがいるパラレルワールド……!」
 とびっくりした。映画の役の上とはいえ、アナが隙を見せるなんて!!

 パンフのアナの紹介文がすごかった。
「冷徹さと気まぐれさで知られるファッション界の女帝」
 冷徹+気まぐれって恐ろし過ぎないか。

 主演の8人の女性それぞれが魅力的で、この人も、この人も好き、ってなるのだけど、一番好きなのはスリのコンスタンス(オークワフィナ)かな〜
 東洋系で友達にもいそうな感じで、笑うと可愛い。
 彼女がトイレで活躍するシーンが良かった。

 シン・ゴジラの尾頭ヒロミ的存在のナインボール(リアーナ)は、お色直しの後が美し過ぎた。
 アミータ(ミンディ・カリング)もインドの王妃のよう。
 私が着たいのはローズ(ヘレナ・ボナム=カーター)の服です。
 頑張れ、時代遅れのデザイナー!

 パンフにドレスの詳しい解説が載っているのも嬉しい。

 湿っぽいところのない楽しい娯楽作品で、こういう映画が増えると良いのに〜
 泣かせようとする映画は見たくないんだよ……
 
posted by 柳屋文芸堂 at 00:49| 映画・映像 | 更新情報をチェックする

2018年08月14日

映画「モアナと伝説の海」感想

 ポリネシアのお話ということで見てみました。
 最近、太平洋の島々の文化にハマっているのです。

 島の生活の様子や、入れ墨で語られるマウイの神話が興味深く、面白かった。
 海を渡る先祖の船団、星を読む航海術の描写も良かった。

 映画に出てくるダブルカヌー、国立科学博物館の地球館地下2階に3分の1模型がありますよ!
(写真と説明はこちら この間見てきた)


 
posted by 柳屋文芸堂 at 18:57| 映画・映像 | 更新情報をチェックする

2018年07月06日

映画「パンク侍、斬られて候」感想

 簡単に言ってしまえば、バカバカしい教義を持つ新興宗教が暴走する話。
 偶然とはいえ麻原彰晃の死刑が執行された日に見ることになり、感慨深かった。

 乗る電車が一本違っていたら、地下鉄サリン事件に巻き込まれていた、という友人がいた。
 別の友人は「大学の必修科目の宗教の時間に、先生がオウムの話ばかりする」と嘆いていた。
 後輩たちはふざけて、オウム真理教の信者がする踊りを踊っていた。
 あの時期、信者に限らず多くの人がオウムに熱狂していた。

 バカバカしい教義を持つ新興宗教の暴走、は私にとって全くバカバカしい話ではない。
 それは現実にあったことだ。
 原作者や監督がオウムを意識したかは分からない。
 そういう現象はオウムに限らずしょっちゅう起きることだから、何がモデルかはどうでも良い。

 バカバカしいほど残酷な現実から目をそらすために、人はいつでもバカバカしい何かに熱狂することを求めているのかもしれない。

 言葉、特にナレーションが過剰な映画で、それが不思議と心地よい。
 下手なやり方だと、
「言葉じゃなく映像で説明して!」
 と思っちゃうところだけど、
「ああ、この言葉は全部必要だ」
 と感じられた。

 私は「パンク」を「虐げられた者たちによる攻撃的表現」ととらえている(正しい定義かは分からない)
 その意味では、白痴の超能力者であるオサムが最もパンキッシュであるような気がした。
 彼の異常な怯えや愚かさには説得力があり、一番強く感情移入した。

 二年前、天下無敵のムービースターであるところの綾野剛に恋をし、作品を色々見ているうちに、私は映画やテレビドラマに飽きてしまった。
 「盛り上がりの型」のようなものを感じ「もうそれお腹いっぱい」という気分になってしまったのだ。
 「パンク侍、斬られて候」はそういう型を利用しつつ、程よく壊してもいて、楽しく見ることが出来た。
 こういう作品に出てくれてありがとう、という気持ち。

 今回は脱がない(よね?)けど、お尻はいっぱい出していた(よね?)
 
posted by 柳屋文芸堂 at 19:57| 映画・映像 | 更新情報をチェックする

2017年10月04日

短編アニメーション「彼女と彼女の猫」感想


↑予告ではなく本編映像

 新海誠の最初期作品。
 可愛くて無駄がなくて大好きだ。
 特に途中のガールフレンドとのやり取りが可笑しい。

 監督の公式サイトに貼ってある動画。無断アップロードではないのでご安心を。
 これを無料で好きなだけ見られるの、嬉しいな。
 
posted by 柳屋文芸堂 at 15:52| 映画・映像 | 更新情報をチェックする

映画「雲のむこう、約束の場所」感想

 その後に作られた新海誠作品を先に見てしまうと、習作的な位置付けかな、と。
 やりたいことは色々あったけど上手くやり切れなかった感じ。
 雪国の学校生活の甘酸っぱさは、さすが。


 
posted by 柳屋文芸堂 at 15:07| 映画・映像 | 更新情報をチェックする