2016年08月02日

映画「日本で一番悪い奴ら」パンフレット感想

【映画パンフレット】 日本で一番悪い奴ら 監督 白石和彌 キャスト 綾野剛, YOUNG DAIS, 植野行雄, 矢吹春奈, 瀧内公美, 田中隆三, みのすけ, -
【映画パンフレット】 日本で一番悪い奴ら 監督 白石和彌 キャスト 綾野剛, YOUNG DAIS, 植野行雄, 矢吹春奈, 瀧内公美, 田中隆三, みのすけ, -

 すごい読みでのあるパンフだった!
 主演の綾野剛、監督の白石和彌だけでなく、悪い仲間3人組(中村獅童、YOUNG DAIS、植野行雄)、最初の方にしか出てこないピエール瀧へのインタビューまで載っているの!

 植野行雄が綾野剛を刺し殺そうとする場面で、植野がリハーサル通りに出来なくて全員アドリブになった、という話が面白かった。
 植野はそれを「ミスった」と言うのだけど、本当にそれは「間違い」だったのだろうか。

 撮影の間、ずっと役になり切るうちに「その役としての動き」が自然と出てしまっただけで、間違っていたのは安全を優先したリハーサルの動きの方だったのではなかろうか。
 綾野剛は本気で逃げていたらしく、確かに非常に緊迫感のある良い場面だった。
 ケガ人が出なくて何よりでした。

 話の元となった事件で逮捕された稲葉圭昭(綾野剛が演じた諸星のモデル)のコメントも載っている。
 捜査費を捻出するために覚醒剤を密売、って何度読んでも笑っちゃいますね。
 笑い事じゃないんだけど。

 この映画の舞台は昭和の終わりから平成の初めくらいで、その少し昔っぽい雰囲気が嘘臭くなく、画面に説得力があった。
 美術を担当した今村力へのインタビューを読んでその理由が分かった。
 この人はまさに昭和のまっただ中から映画界にいたベテランの方らしくて、細かく書き込まれた設計図やセットを描いたドローイング(というのかな?)が素晴らしい。

 パソコンがなくて黒電話が置いてあるデスク。
 高級クラブの使い込まれたソファーの質感。
 こういう一つ一つの細部を本物のように見せる職人技が、虚構を真実に変えるのだ。
 感動した。

 衣装についてのページもある。
 中村獅童とピエール瀧は昭和の極悪人ファッションがやたらに似合っていて可笑しかった。
 綾野剛はあんまり似合ってなくて、それが身の丈に合わない暮らしをしている役柄をよく表していて、痛々しさ倍増で最高だった。
 似合わない服によって表現出来ることがあるんですね……

 撮影が終了したのは2015年7月6日。 
 映画「怒り」の制作日誌によると、こちらの撮影は2015年8月8日から。
 だいたいひと月くらいで綾野剛は諸星から直人に化けたのか〜

 全然違うタイプのキャラ(諸星→柔道バカの刑事 直人→優しくて病弱な謎の男)なのに、すごいな。
 しかも雪の場面を撮るために、12月に再び諸星に戻ったらしい。

 俳優とスタッフが全力を出して作り上げる映画の世界を堪能出来て「日本で一番悪い奴ら」の土台まで味わえた気がしました。
 もちろんいっぱい収録されている綾野剛の写真も可愛いです♪♪
 
posted by 柳屋文芸堂 at 00:06| 映画・映像 | 更新情報をチェックする

2016年07月28日

映画「日本で一番悪い奴ら」感想

 一ヶ月くらい前だったろうか。
 唐突に、俳優の綾野剛を大好きになってしまった。
 きっかけはTwitterで話題になった映画「怒り」の予告。



 典型的美男子というのとは違うけど、何だか目を離せない表情をする人だなー と感じ、名前を検索して写真や動画を色々見ていったら、気付いた時には恋をしていた。
 綾野剛の顔がいかに魅力的かをTwitterで滔々と語ったりして、でも実は綾野剛が出演しているドラマや映画を一つも見ていない。
 相手のことをそんなに知らなくても、好きになる時にはなっちゃうのよ?

 しかしまあそれも申し訳ないなと思い、まだギリギリ公開中だった「日本で一番悪い奴ら」を見てきました。
 予告編はこれ。



 北海道警察で実際に起きた不祥事を元にしたヤクザ映画、と言えば良いだろうか。
 ヤクザより警察の方が断然ヤクザっぽい。

 綾野剛が見たくて行ったのに、一番格好良かったのは中村獅童だった。
 立ち居振る舞いが優雅で落ち着いていて、暴力団の幹部という役柄に説得力があった。

 この作品の登場人物はほぼ全員どこか悪いのだけど、中村獅童が演じた黒岩がたぶん一番悪い。
 でも全然、憎い汚いとは思わなかった。

 どんなに孤独になっても悪の道を進む覚悟が感じられて、
「この人はこういう風に生きるよう定められた人なのだな」
 というのが「車に乗る」というような割と単純な体の動き一つで伝わってくる。
 さすが歌舞伎役者、と思わせる存在感だった。

 綾野剛が演じる北海道警察の刑事・諸星は、真面目で熱心であんまり頭が良くなくて、警察という組織の中で認められたいと願うあまり、道を踏み外し荒んでゆく。
 痛々しくて可哀想で、格好良いとか可愛いとか思っている余裕がなかった。

 中村獅童はどこまでも中村獅童で、諸星は諸星だった。
 綾野剛であることを意識させない演技。
 すごい役者さんなんだな、と。

「拳銃を摘発する」
 という目的に夢中になるあまり、警察はだんだん倫理観がおかしくなってきて、拳銃の対価として麻薬の密輸に協力したりするようになる。

「何かを達成しようとするあまり、最初に目指していたものを見失ってしまう」
 というのはよくあることで、特に組織は動き出したら誰も止められなくなるから始末が悪い。
 ここまで悪くなくても、似たような話は多くの人の身の周りにあるはずで、その分悲しく切ない。

 パンフレットを買ってきたので、その写真を見て綾野剛を愛でています。
 写真になれば諸星であると同時にそれは綾野剛で、どんな場面の顔も可愛いんだよね〜
 机の上でうたた寝してるのがお気に入りです♪
 
posted by 柳屋文芸堂 at 23:33| 映画・映像 | 更新情報をチェックする

2016年02月09日

クストリッツァ監督特集上映「ジプシーのとき」感想

 少年が、愛のために大人になろうとし、
 生きるために汚れてゆき、
 嘘をつくことを覚え、
 自分をだまし、
 それゆえ人を信じられなくなり、
 一番大切だったはずの愛を失い、
 純粋さを捨て切れないまま破滅していく物語。

 切なかったぁ……
 また音楽が場面によく合っていて素晴らしいんだ。
 ジプシー音楽はもちろん、セルビア正教会の聖歌なども取り入れたそう。

 ジプシーの貧しさ、ズルくないと生き抜けない悲しさ、などが重要なテーマではあるのだろうけど、どんな国にいても人間は、綺麗なままではいられないところがある。
 ストーリーや一つ一つのエピソードはかなりハチャメチャでありながら、普遍的で、非常に共感出来る話だと思った。

 ジプシーたちが大勢集まり、川に灯火を流す場面が幻想的で美しかった。
 クストリッツァ監督の、夢と現実が混ざり合った世界。
 クセになりそう。
 
posted by 柳屋文芸堂 at 00:18| 映画・映像 | 更新情報をチェックする

2016年01月30日

気になっている映画の予告



 公式サイトはこちら
 このチラシが0.01秒ほど視界に入っただけで、
「あっ、ゲイ映画だ!」
 と気付いた私は筋金入りの腐女子だと思う。



 公式サイトはこちら
 怖そうだからたぶん見ないと思うのですが、架空の日本のアニメ「魔法少女ユキコ」とそのコスプレ・主題歌が出てくるのが面白い。
 スペインの映画です。
 
posted by 柳屋文芸堂 at 00:51| 映画・映像 | 更新情報をチェックする

クストリッツァ監督特集上映「SUPER8」感想

 音楽ドキュメンタリー。
 うーん、アンダーグラウンドほどじゃなかったかな……
 何となくドラムのリズムがもたれているように聞こえたのだけど、気のせいかしら。
 終わりの方のミュージック・ビデオっぽい映像はステキだった。
 
posted by 柳屋文芸堂 at 00:37| 映画・映像 | 更新情報をチェックする

2016年01月27日

クストリッツァ監督特集上映「アンダーグラウンド」感想

 映画「アンダーグラウンド」の舞台は1940年代〜90年代のユーゴスラヴィア。
 今の若い人は学校でユーゴスラヴィアのこと教わるんですかね?
 もう地図にはない国で、現在はスロヴェニア、クロアチア、ボスニア・ヘルツェゴヴィナ、セルビア、モンテネグロ、コソヴォ、マケドニアに分裂しています。

 ストーリーを大まかに説明すると……

 1941年、ユーゴスラヴィアの首都ベオグラードは、ナチスの空爆で破壊された。
 混乱の中、裏稼業でボロ儲けをしているマルコとクロ。
 クロはナチスの将校を銃撃し、将校の恋人ナタリアを誘拐する。

 ナタリアと結婚しようとするクロ。
 しかしマルコはクロを地下の武器工場に押し込め、
「まだ地上ではナチスとの戦いが続いている」
 とウソをついて地下から出さないようにし、ナタリアを自分のものにしてしまう。

 第二次世界大戦終結後、ユーゴスラヴィア政府の幹部となったマルコ。
 クロを戦争で死んだ英雄に仕立て上げ、その逸話が映画化されることになる。

 地上に出てきたクロは映画の撮影を現実と勘違いし、撮影現場でナチスの将校役の男を銃殺する。
「これこそがリアルだ!」
 と大喜びする監督……

 うーん、難しいなぁ。
 実際はクロの奥さんと息子や、ナタリアの弟やマルコの弟など、数え切れないほどの登場人物が出てくるし、それ以上に動物が出てくるし、エピソードも盛り沢山。

 この映画に印象が最も近いのは「ゲルニカ」だと思う。
 スペインの町ゲルニカへの爆撃に対する憤りから生まれたピカソの絵。
 戦争を描いていながら全然リアルじゃない。

 人間や動物はデフォルメされ過ぎているし、ぱっと見でそれが何なのか判断出来ない抽象的な線も多い。
 それでも燃え上がる町の人々の、苦しみや混乱がはっきりと伝わってくる。

 1990年代に入り、ユーゴスラヴィアでは内戦が勃発。
 再び破壊された町でマルコとナタリアは焼死する。
 クロは井戸に飛び込み、深い水路をたどって、不思議な水辺の土地に辿り着く。

 そこには何十年も前にお産で亡くなったクロの奥さんが待っていた。
 行方不明だった息子も、息子のお嫁さんも、マルコやナタリアも元気で、車椅子に乗っていたナタリアの弟は歩けるようになっており、ナタリアとダンスを始める。

 ここは天国なんだ。
 そう気付いた途端、私の目から涙がボロボロこぼれた。
 死ぬことでしか辿り着けない理想郷。
 ここでしか、ユーゴスラヴィアの人々は仲良く暮らすことが出来ない。

 激しいブラスバンドの音楽に合わせてみなが踊り狂う中、どもりだったマルコの弟がくるりと振り向き、雄弁に語り出す。

 苦痛と悲しみと喜びなしには、子供たちにこう語りかけられない。
 昔、あるところに国があったと。




 何年か前にラジオで流れたこの映画のテーマ曲が気になって、タイトルをメモしておいたのです。
 恵比寿ガーデンシネマでこの「アンダーグラウンド」を含めたエミール・クストリッツァ監督特集上映をやると知り、
「どんな話か知らないけど、まあミュージック・ビデオを見るような気持ちで」
 と行ってみた。

 そうしたらまあ、久々に「とんでもないもの見ちまった!」って感じでした。

 エミール・クストリッツァ監督特集上映は2月12日まで。
 公式サイトはこちら

 ウソと狂気と真実が渾然一体となって炸裂する、強烈な物語。
 見て損はないと思います。
 
posted by 柳屋文芸堂 at 15:35| 映画・映像 | 更新情報をチェックする

2016年01月19日

映画「創造と神秘のサグラダ・ファミリア」感想

 130年前から作り続けているスペイン・バルセロナの教会「サグラダ・ファミリア」についてのドキュメンタリー映画です。
 一昨年開催された美術展「建築家・ガウディ×漫画家・井上雄彦」がすごく良かったので、その映画版っぽい感じかな? と思って。

 美術展がサグラダ・ファミリアの設計者である「ガウディ」に焦点を当てていたのに対し、今回の映画の主役は100%「サグラダ・ファミリア」でした。
 ガウディよりも、現在建築に携わっている人々の様子が丁寧に取り上げられています。

 最も興味深かったのは「生誕の門」を手がけた彫刻家、外尾悦郎と、
 「受難の門」を手がけた彫刻家、ジョセップ・マリア・スビラックスの対比。

 外尾は日本人で、スビラックスは地元、スペイン・カタルーニャ出身。
 外尾は「ガウディが見たものを見たい」とわざわざカトリックに改宗して仕事にのぞみ、周囲に調和した像を作り上げる。
 それに対しスビラックスは「私は無神論者」と言い、現代(キュビスム)的なカクカクした形の像を設置し、大論争を巻き起こす。

 ガウディの精神に寄り添った外尾より、自分の芸術を貫いたスビラックスの方がガウディっぽい感じがするのが面白い。
 だってガウディ自身がそういう、我が道を行く人だったのだから。
 外尾の「相手に合わせる」やり方は、非常に日本人らしいなと思う。

 どちらが正しい・間違っているというのではない。
 外尾とスビラックス以外にも、ステンドグラスの設計者や現場の作業員など多くの人がサグラダ・ファミリアで働き続けていて、それを見に世界中から観光客が訪れる。
 サグラダ・ファミリアはまだ完成していないのに。

 サグラダ・ファミリアという建物そのもの以上に、「サグラダ・ファミリアの建設」というプロジェクトが人々を魅了し、引き寄せる。
 作品を作る過程を作品に含めてしまう、前衛芸術の精神に近いものも感じました。

 ガウディのデザインの美しさは、美術展の方が詳しくて、映画はちょっと物足りなかったかな〜
 これはもう、実物を見に行くべきなのかもしれませんね。
 入場待ちの長い行列が映っていたけど……
 大変そうだなぁ。
 
posted by 柳屋文芸堂 at 16:19| 映画・映像 | 更新情報をチェックする

2015年12月18日

映画「A Film About Coffee」感想

 大坊珈琲店の映像が入っているというので見てきました。
 ラジオ講座「英語で読む村上春樹」のテキストにこちらのお店の写真が使われていて、
「うわぁ、行ってみたい!!」
 と思った時には、ビル取り壊しのためすでに閉店……
 表参道なんてしょっちゅう行くのに、私のバカバカ!

 大坊珈琲店の店主、大坊勝次さんがコーヒーを淹れる様子は本当に美しくて、涙が出た。
 店内を暗い色調に整え、シンプルに植物を飾り、カップを選ぶ。
 コーヒー界の千利休って感じ。
 お店には行けなかったけど、動いている姿(「所作」という言葉がぴったり)が記録されていて、見ることが出来て、本当に良かった。

 コーヒー生産の流れもじっくり撮影されており、勉強になった。
 果実を収穫し、精製・乾燥・焙煎等を経て、あの黒いコーヒー豆になる。
 農園の風景も綺麗だったし、農家のおじさんたちも素敵だった。

 アメリカのコーヒー店の部分は、
「水色薄っ! まさにアメリカンコーヒー!!」
 って思った。エスプレッソ好きなのであれは耐えられない。

 日本のコーヒーも浅煎りで薄くて酸味が強いのが多いから、基本がアメリカ式なんだろうな。
 もっと煎ろうぜ、ほうじ茶のように……

 大坊珈琲店のコーヒーは深煎りだったようです。
 大坊勝次さんのコーヒーを味わう会、みたいなのが時々開かれているようなので、機会があれば行ってみたいな。


 
posted by 柳屋文芸堂 at 22:05| 映画・映像 | 更新情報をチェックする

2015年12月17日

アニメ版「昭和元禄落語心中」PV!

 アニメ版「昭和元禄落語心中」のPV見ました!!



 菊さんの弁天小僧がカラーで動いてる〜! キャーッ!!
 声優陣がやたらエヴァンゲリオンなのはいったい……

 主題歌は作詞作編曲が椎名林檎で、歌っているのは林原めぐみ。
 豪華だなぁ。

 来年の1月8日から放送が始まるそうです。
 うちテレビないから見られないけど、ある人は楽しんでください。
 原作もぜひぜひ! 大好きな漫画です♪
 
posted by 柳屋文芸堂 at 01:10| 映画・映像 | 更新情報をチェックする

2015年11月29日

映画「料理人ガストン・アクリオ 美食を超えたおいしい革命」感想

 ペルーの料理人、ガストン・アクリオを追ったドキュメンタリー。
 あの人はすごい! 国を変えた!! という賛辞がやたらに出てくるのだけど、どうすごいのか、どう国を変えたのか、もうちょっと具体的に映して…… って感じでした。

 ガストン・アクリオを知っていて当然の人たちのための映画みたい。
 私は全然知らないので面食らった。

 どうやら、高級料理と言えばフランス料理だったペルーで、美食家も満足させるペルー料理(ペルービアン)を確立した人らしい。
 日本では、自国の料理(和食)がフランス料理とタメ張ってる。
 それって当たり前のことじゃなくて、負けちゃう国も少なくないんだ。
 自分の国の料理が一番口に合うだろうに、不思議な気がする。

 キヌア畑が印象的だったな。
ここに写真もあり。民族衣装を着た女性たちが可愛い!)
 カサカサに乾いた大地に実るの。

 こんなところで穀物を収穫出来るなんて、とDちゃんに話したら、
「稲だってあんな水浸しのところで育って、変だよね。普通、根腐れするよね」
 とのこと。確かに。
 食べ物は土地や気候と強く結び付いているんだ、と改めて思った。

 まずはペルー料理を食べてみないとな。
 作り方から想像するに、さっぱりしていてけっこう辛そう。
 ごま油を使うのが意外でした。
 
posted by 柳屋文芸堂 at 00:53| 映画・映像 | 更新情報をチェックする