2017年02月13日

映画「ファッションが教えてくれること」感想

 雑誌「VOGUE(アメリカ版)」の編集長、アナ・ウィンターのドキュメンタリー。
 プラダを着た悪魔、のモデルらしいです(今度そっちの映画も見てみよう)

 何より印象に残るのはアナのファッション。
 けっこう年配なのに(撮影時に60歳くらいかな)どの服も可愛くてピシッ!と似合っている。
 雑誌のモデルが着ている服が霞んでしまうくらい、彼女の服は全部素敵だった。

 アナと対比するように登場するのが、クリエイティブディレクターのグレース。
 「美しさ」を何より大切にし、少々懐古主義的なところがあるグレース。
 彼女が丹誠込めて仕上げた誌面を、アナはザクザクとボツにしていく。

 私が共感したのはグレースだけど、売れる雑誌を作るためには、退屈なものを切り捨てていくアナの力が必要なんだろうな。

 流行という不確かなものを相手に戦い続ける恐ろしさ。
 「美」という変わらぬ価値を生み出しているという自信。
 すごく遠くて、すごく近いから、私はファッションに憧れる。
 
posted by 柳屋文芸堂 at 15:28| 映画・映像 | 更新情報をチェックする

2017年02月12日

新宿伊勢丹のバレンタイン

 マリメッコ展の帰り、狂乱の新宿伊勢丹バレンタイン特設会場に行ってきました。
 ガイドブックみたいなのを無料で配っていて、気合入ってるな〜 と感心した。

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↑ぶ厚い

 フルカラーで132ページ。同人誌ならいくらだろう。
 案内のお姉さんに、
「えっ、これもらっちゃって良いんですか?!
 ありがとうございます〜!!」
 と必要以上に騒いじゃったよ。

 まずこの本でいくつか目星を付けて売り場に行った。
 同人誌即売会とやり方が同じ……
 どれだけ欲しくても人気のある店は長蛇の列。
 私はそれほど混んでいなかった「パスカル・ル・ガック」という店でトリュフチョコを買いました。

「ゴディバとかピエール・マルコリーニとかデメルだといつも通りになっちゃうから、
 今回は違うのにしたよ」
 と言いながらDちゃんに渡したのだけど、考えてみるとずいぶん贅沢だな。
 知り合って20年以上経ち、ブランドものがマンネリ化するほどチョコをあげてきたということ。

 ちなみにパスカル・ル・ガックのチョコ、Dちゃんは、
「まあまあ」
 とのこと。自分の好みで選んだので私は美味しかった(ごめん)

 家に帰ってからガイドブックを読み直してみたら、
「あ〜 これも買っておけば良かった〜」
 が色々出てきた(やっぱり同人誌即売会に似てる)

 ナッツ入りチョコの特集があって、どれもこれも美味しそう。
 ナッツとチョコの組み合わせは最高ですよね。

 プラリベルの、カップ型のチョコレートにクリームやジャンドゥーヤを注いだ、という商品は見た目がメチャクチャ可愛い。
 ホレンディッシェ・カカオシュトゥーベのガトーショコラも悩んだ末にやめちゃって、でもやっぱり買っておけば良かった〜
 もう一つドイツのメーカーがあり、デザインが野暮ったくてやめて、でもやっぱりどんな味なのか知りたかった……
 諸事情あって今、私はドイツにハマっているのです。

 メーカー名は書かないけど、納豆入りのチョコもあった。
 Dちゃんにその話をしたら、
「したり顔で食べる以外の用途がない」
 まあ実験作みたいなチョコレートってどれもそんなところがありますよね。
 ドライフルーツとチョコの組み合わせがいまいちで、味見したせいで買うのをやめちゃった店もあったし。

 しかしデパートで売っている服はすっかり安くなったのに、チョコレートはバブルが終わってないどころかますます高くなっている気がする。
 それなのにお客はちゃんと来ている。
 何だか不思議ですね。
 まあ、こうやってあれこれ考えて選ぶのが楽しいからだろうな。
 
posted by 柳屋文芸堂 at 21:56| 季節 | 更新情報をチェックする

「マリメッコ展」感想

 最終日の前日に行ったのが悪いのですが、いや〜 混んでた!!
 チケット買うのに15分くらい並んだよ。

 難しいことは考えずに、ひたすら色鮮やかな布やドレスをぼんやり眺めて回りました。
 寒さのせいかここのところ気持ちが鬱いでいたので、とにかく綺麗なものが見たかった。
 どのデザインも素朴なのに洗練されていて、心楽しい。

 出口のところにもうじき始まる草間彌生展のチラシがあり、マリメッコにちょっと似ていると思った。
 強迫観念を昇華させた草間彌生の芸術と、使う人の気持ちを明るくするマリメッコのデザイン。
 人間の「心」を良い方向へ向かわせるという意味では、意外と近いものなのかもしれない。
 
posted by 柳屋文芸堂 at 02:36| 美術 | 更新情報をチェックする

2017年02月10日

オカワダアキナ「晩年のままごと」感想

 この小説のメインの舞台は東京都足立区花畑。

「川の向こうにはひよこまんじゅうの工場と、やくざの組事務所が並んでいます。その奥では火葬場が煙突を屹立させて、まいにち煙を吐いています」

 私、この火葬場に行ったことがあるのです。
 死体がガンガン焼かれているすぐ横でひよこがどんどん焼かれていて、悲しみに浸り切れない、泣くつもりだったのにうっかりちょっと笑ってしまう、そんな奇妙な場所。

 この小説で最も特徴的なのは語り口だ。
 たとえばこんな。

「いつも人ごみのなかでキリエの姿を求めた。街角、どこにいたってキリエを探していた。というのはさすがに大げさです。ときどき思い出したくらいです」

 主人公のカタリナがキリエに会いたいと思っているのは真実なのだけれど、
「どこにいたってキリエを探していた」
 と言ってしまった後で、
「本当にそうだろうか。これは単なる言葉の勢いで、実際の気持ちとはズレているのではないか」
 と「ときどき思い出したくらい」に修正する。

 この迷いを積極的に残した文体によって、カタリナの盛り上がり切れない、満たされない気持ちが、ごまかしなしに伝わってくる。

 カタリナが誰かと対立し、苦悩し、何かを解決する、なんてことは不可能だ。
 対立し切れないし、苦悩し切れないし、解決し切れない。
 物語はドラマチックであることを放棄する。
 しかし物語的でない物語こそが、本当の人生なのではないか。

 言葉には「よくある流れ」があり、物語には「よくある展開」があるので、ややもすれば言葉や物語は登場人物の感情そっちのけで勝手に進んでいってしまう。
 それを避けていくのは書き手にとって大変なことだ。
 この物語は一見ゴチャッとして奇妙だけれど、人の心の動きを描くことに対して非常に誠実だと感じた。

 何かを言い切ってしまうことの不誠実さを思う。
 言い切るたびに少しずつ嘘をついていることに気付く。
 それでも何かを言わないと、前に進めないのもまた本当、だ。
 
posted by 柳屋文芸堂 at 11:54| 読書 | 更新情報をチェックする

2017年02月02日

映画「ナショナル・ギャラリー 英国の至宝」感想



 ロンドンにある美術館「ナショナル・ギャラリー」の活動を追ったドキュメンタリー。
 一番面白かったのは、ルーベンスの絵画「サムソンとデリラ」をスパイものの一場面として説明してくれる学芸員。
 人を惹きつける情熱的な語り口で、
「その映画、絶対見に行くよ!」
 という気分になった。

 芸術作品を読み取って、その魅力を伝える作業は、もしかしたら創作そのものより創造的なんじゃないか。
 私が常々感じていたそんな思いを、あの学芸員は体現していた。

 美術好きとはいえ、美術館ではただ作品を見て帰るだけのことがほとんど。
 ギャラリートークやワークショップも利用して、もっと積極的に美術に関わってみたいと思った。

 映画の公式サイトはこちら
 
posted by 柳屋文芸堂 at 18:54| 美術 | 更新情報をチェックする