2017年07月09日

映画「ピアノマニア」感想

 ピアノの調律師の仕事を追ったドキュメンタリー。
 音色へのこだわりが強いピアニストの無茶な要望に応えようとしたり、ピアノを使う芸人コンビにネタを提供したり。
 調律師はピアノの「音程」を合わせるだけではなく、もっと幅広く音楽に関わるんだなぁと。
 この映画に出てくるシュテファンさん(スタインウェイ社の技術主任)が特別なのかもしれないけど。

 途中で古楽器のクラヴィコードの演奏を聴けたのが良かった。
 親密で、人間的な愁いを含んだ音。
 これと対比することで、ピアノが生み出す音楽の、暴力的なほどの華やかさがより強く感じられた。

posted by 柳屋文芸堂 at 00:28| 映画・映像 | 更新情報をチェックする

2017年06月28日

映画「69 sixty nine」感想

 私は「69 sixty nine」の原作が大好きなので、
「映画なんて無理無理、絶対ムリ!」
 と思っていたのだけど、「怒り」で妻夫木聡と李相日監督に興味を持ったので見てみました。

 原作を読んでから25年ほど経ち、内容を程良く忘れていたので、そんなに違和感なく楽しめました。
 男子高校生の日常や妄想の、馬鹿馬鹿しく笑える部分を大切にして映像化されていて、ホッとした。
 この物語の一番好きなところだから。

 何しろ全編で使われている長崎の方言が可愛い!
 星野源がとんでもない役で出ていてびっくりした。
 原作でも非常に印象的な場面で、さすがにここは忘れてなかったよ。

 新井浩文がだらしない番長役をやっている。
 「フランケンシュタインの恋」でさんざん見た後だったからウケた。

 「怒り」と同じように妻夫木聡の母親役が原日出子で、
「(怒りの)優馬は若い頃、こんなにお母さんに苦労かけたのね……」
 と、全然違う話なのに勝手につなげてじーんとしてしまった。
 お父さん役の柴田恭兵も格好良くてステキです。

 多くの物語が「酷いことを言ったりやったりしても許されてしまう登場人物」を求めていて、そういう役を演じられる俳優は限られており、妻夫木聡は良くも悪くもそこにピタッとハマってしまう存在なんだなぁと。
 ゲイでもノンケでも、モテる・愛されるという特徴から「逃れられない」
 本人としてはもうちょっと幅広くやってみたいんじゃないかと思うのだけど。

 妻夫木聡の容貌と演技は、観客の感情を加速させる。
 この長所は、悲しみより喜びに対して使って欲しい。
 「69 sixty nine」のケン役はからりと明るく、見ていて愉快な気持ちになる。
 あのtoo sweetな笑顔を見たら、どんな悪さも全部チャラになっちゃうよねぇ。

 そうそう、下ネタだらけなので苦手な方はご注意を!

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posted by 柳屋文芸堂 at 13:51| 映画・映像 | 更新情報をチェックする

2017年06月27日

映画「悪魔の手毬唄(1977年版)」感想

 「犬神家の一族」の方がテンポが良くて好みだったな。
 同じ原作者・監督でもずいぶん違うものですね。
 田舎の閉鎖的な雰囲気は良かった。

 「犬神家の一族」にも出て来た三木のり平と沼田カズ子夫妻、最高ですね!
 奥さんが無愛想に写真を投げる場面、この映画の中で一番好き。

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posted by 柳屋文芸堂 at 18:50| 映画・映像 | 更新情報をチェックする

2017年06月26日

テレビドラマ「フランケンシュタインの恋」感想

 フランケンシュタインの恋、昨日が最終回でした。
 ドラマをリアルタイムで最初から最後まで見たのは2002年の「HR」以来で15年ぶり。
 長編小説を読み終えたような充実感がありました。

 主演の綾野剛が目的だった訳ですが、見ていて一番興奮したのは十勝さん(山内圭哉)
 一応カタキ役で善人ではないのだけど、完全な悪人でもない。
 その場の状況によって感情が大きく振れ、瞬間瞬間で良い人に見えたり悪い人に見えたりする。

 下手な人がやったら「演技の定まらない人」になりそうなところを、十勝さんは常に100%十勝さんで、内面だけが見事にリアルにぶれてゆく。
「現実の人間って、こうだよねえ!!」
 と唸ってしまうキャラだった。

 玉名さん(大西礼芳)も色っぽくてステキでしたね〜
 怪物もヤンキーも全部まとめて面倒見ちゃう包容力。
 彼女が出てくるたび、私はニコニコしていたと思う。
 毎回、画面を通して会えることが嬉しかった。
 
 美琴(川栄李奈)も可愛かったなぁ!
 つっぱってしゃべる様子も良かったし、激しい感情を抱えたままじっと黙っている時の瞳が綺麗で。
 美琴と研さん(綾野剛)のやり取りは、可笑しかったり優しかったりでどれも大好きだった。

 深志博士(斎藤工)はそんなに出番は多くなかったのに、少ないセリフから人間を嫌いつつ人間を求めている気持ちが伝わってきて、凄いな〜 と。
 西洋ファンタジーのような風貌が120年前の背景と上手く重なって「フランケンシュタイン」という言葉に合った雰囲気を作り出していましたね。

 研さんには当然めろめろで、あまりの愛らしさにテレちゃって直視出来ないくらいでした。
 そして研さんからの影響でどんどんピュアになっていく綾野剛が…… もう……
 
 サキタハヂメさんの音楽も幻想的かつ前向きで、サウンドトラックを買おうか考えている。
 演奏にのこぎりが使われていると知り、びっくり。
 あの、みょーん、って音がそうなのかな?

 主題歌の「棒人間」は人間の世界で生きていく大変さが凝縮されていますよね。
 お話の最後にこれが流れると、
「ああ!」
 と毎回叫びたくなった。

 オーディオコメンタリーやフラ恋絵大賞など、ファンを大切にした企画も多くて幸せだった。
 私はやきのりさんげげたさんという方が描かれる「フランケンシュタインの恋」のイラストが大好きで、毎週楽しみにしていました。
 ありがとうございました!

 放送が終わってしまって寂しいけれど、ドラマで出会った登場人物たちは私の心にちゃんといる。
 これからも時々思い出して、人間の欲望や思いやりについて考えてみたい。

 第一話を見た後でうっかり書いてしまった二次創作はこちら
 これも良い思い出です。
 
posted by 柳屋文芸堂 at 18:01| 映画・映像 | 更新情報をチェックする

2017年06月25日

楽譜と演奏≒文章と読み

 楽譜を見ながら演奏することで音楽が生まれるのと同じように、小説は文章を読むことで物語の世界が心に浮かぶ。
 楽器の演奏は先生に習って練習したりするが、「読み」はどうなのだろう。
 学校の国語の授業は「読みのレッスン」になっていたのか。

 もし国語の授業が有効に機能していなかった場合、読書しない人に向かって「本を読め」と言うのは、楽器の演奏をしたことのない人に「ピアノを弾け」と言っているのとほとんど同じなのではないか。

 楽器に素晴らしい演奏とダメな演奏があるように、読みにも上手・下手があるはず。
 しかし「読み」は脳内で行われることだから、外からは確認出来ない。
 楽器の腕前を上げるように、読み方を上達させるには何をすれば良いのか。

 活字離れというのは、
「文章を読み取って自分で物語を奏でるのが面倒」
 と感じる人が増えている、ということなのだろう。

「たまには本を読んでみませんか?」≒「久々にリコーダーを吹いてみませんか?」

 吹くかなぁ。読むかなぁ。
 
posted by 柳屋文芸堂 at 00:33| 考え | 更新情報をチェックする