2019年11月05日

アニメ「あの日見た花の名前を僕達はまだ知らない。」感想

 美しいタイトルに惹かれ、dアニメストアでテレビ版と劇場版を見ました。
 登場人物のうちの誰かが死んでしまう話だというのは、何となく知っていた。
 しかし死んでしまった女の子「めんま(←あだ名)」は、第1話の最初から幽霊として元気に動いている。

 私は勘違いしていた。この物語は、誰かが死んで悲しくなる話ではない。
 かつてのめんまの死によって、周囲の人々が抱えることになった、罪悪感、痛み、壊れた関係。
 話が進むにつれ、それらが明らかになってゆき、じわじわと胸を締めつける。

 単刀直入に言いましょう。
 ゆきあつの女装シーンに興奮し過ぎて頭がどうにかなりそうです。

 一番強気に見えたゆきあつが、誰より心をボロボロにしていると分かる瞬間。
 白い袖なしワンピースという難易度の高い女装をし、逃げ惑う途中かつらを木に引っかけ、情けない声を上げてすっ転ぶのが、好みど真ん中だよ。ごめんね、ゆきあつ……

 何が起きてもゆきあつは徹底して気位の高さを保つ。
 岸辺露伴もそうですが、一本筋の通った困った奴を演じると最高ですね、櫻井孝宏さん。

 どの回もエンディングテーマが流れ始めるタイミングが素晴らしく、第4話(ゆきあつ女装バレ回)は特に良い。
 何度も繰り返し見てしまう。

 めんまを成仏させよう、という風に話は進むけれど、めんまはむしろ最初から仏か女神か妖精のようだ。
 成仏していないのは、めんまの家族や友人たちの「心」だ。
 めんまが幽霊として現れたことで、彼らの関係は修復され、傷も少しずつ癒えてゆく。

 未来は明るく変わる。
 テレビ版も劇場版も、そんな予感をたっぷり含んだラストだった。

 みんな(特につるこ!)幸せになりますように。
 
posted by 柳屋文芸堂 at 23:32| 映画・映像 | 更新情報をチェックする

2019年10月05日

「天気の子」展 感想

 松屋銀座で開催中の「天気の子」展に行ってきました!
 公式ビジュアルガイドに載っていた企画書や絵コンテの実物がいっぱい!!

 スタッフの紹介動画も、本では分かりにくい作業の様子や本人の雰囲気を見ることが出来て良かった。助監督・色彩設計の三木陽子さんを初めて見た。若い人なんだなぁ。

 新海誠の絵(作画監督に「こういう画面にして下さい」と伝えるためのもの)が見られるのも嬉しい。アニメーターさんほど上手くはないのだけど、
「こう動いて欲しい!」
 という気持ちがあふれて、すごく生き生きしている。

 夏美の胸元をどうするか、絵とメモで相談したものも展示されていた。

新海メモ「女性のご意見もきいてみて下さい」
田村(作画監督)メモ「これ位ですかね」

 傷付く人がいないよう、思春期男子の視線として嘘のないよう、かなり慎重に影の付け方を考えたと聞いていたので「これか!!」と。

 「天空の城ラピュタ」などで美術監督を務めた山本二三さんの作品、4点全部本物が飾ってある! すごい!! 天井画は天井の木目や板と板の境目も絵で描かれていて「美術」と「アニメの美術」の違いを実感した。

 絵コンテや歌詞を展示で確認した後に、その部分の映像を見られるようになっている。明るい曲にもその後の展開を暗示する言葉が含まれていたり、「天気の子」という物語のために、絵も音楽も繊細に組み立てられているのがよく分かる。

「天気なんて狂ったままでいいんだ」
 というセリフは、
「君が犠牲にならなくたっていいんだ」
 ということなのだと思う。グランドエスケープが流れるこのシーンを見ると、
「新海誠よくやった!」
 と握りこぶしを作っちゃう。

 陽菜は首、帆高は手首に枷(かせ)をはめられ、真っ逆さまに落ちてゆく。その寓意。
 物語の中の少年少女は、すべての世代の感情を増幅させた存在なのかもしれない。

 私は「天気の子」のエピソードではなく、そこで描かれる「感情」に共感する。陽菜のおびえ、帆高の怒り、新海誠の苛立ち。
 現代日本で多くの人が抱えている、なかなか言いにくいモヤモヤした息苦しさ。

 帆高が農学部に進んだのは、環境問題を考えるためだったと、今回の展示で初めて知った。
「アントロポセン(人類の活動が環境に影響を与えた地質年代、という考え方)」
 と書かれた入学案内パンフレットが画面に出てきていたらしい。細かいなー!

 気象についてのコーナーもあり、雨粒の形を見てみよう、という実験が綺麗だった。下から風を受けておまんじゅう形になった水滴。
 ただの水なのにキラキラ光って宝石みたい……いや「新海誠の映画みたい!」だった。
 水滴は時々はね跳んで消えてしまうので、注射器で作り直す人がそばに付いていた。彼女も、
「癒やされます」
 と言っていた。

 情報量の多い「天気の子」という映画の細部をじっくり味わえる展示でした。
 松屋銀座では10月7日までですが、その後巡回展があるようです。
 ファンの方はぜひどうぞ。
 
posted by 柳屋文芸堂 at 22:01| 美術 | 更新情報をチェックする

2019年09月28日

アニメ「ガイコツ書店員 本田さん」感想

 私も参加した「蒼衣さんのおいしい魔法菓子公式アンソロジー みんなのスペシャリテ!」の中に、杉岡さんの「晴れのち魔法菓子、ときどき絵本」という作品が収録されている。本屋が舞台のお話で、
「書店員さんのお仕事、大変そうだけどやってみたいな〜」
 と憧れを感じながら楽しく読んだ。

 dアニメストアで「ガイコツ書店員 本田さん」を見つけた時、
「もしかして、杉岡さんの小説みたいなアニメ?!」
 と再生してみた。本田さんの方がギャグ寄りだが、「お客さんに本を届ける」という使命への愛が共通している。

 本屋さんの話に胸を熱くするのは、私も杉岡さんや本田さんと同じように、本が与えてくれる喜びを、強く信じているからかもしれない。

 このアニメの原作者の本田さん(作者も主人公も本田さん)は、俳句の漫画も描いているそうで、読んでみたいな。
 
posted by 柳屋文芸堂 at 23:09| 映画・映像 | 更新情報をチェックする

アニメ「ちはやふる」感想

 タイトルをよく聞くし、映画化もされていたし、どんな話なんだろう……? とdアニメストアでちょこっと再生してみたら、いやー面白い止まらない! 「ちはやふる」「ちはやふる2」全話を一気に見てしまいました。

 競技かるたで全国一を目指す高校生たちの物語。それぞれが異なる戦い方をするので、試合が続いても飽きない! 音への反応が速い千早、記憶力で勝負する太一、詩の情景を思い浮かべるかなちゃんなど。

 千早に忍ぶ恋をする太一が可愛くて、もう! 勉強と運動は難なくこなせるのに、思い通りにならない千早とかるたにずぶずぶとのめり込んでゆく。太一が自分の弱さと向き合って「男の子」から「男の人」になっていくのがたまらない。なまじ美形で勉強も出来るから、千早とかるたに出会わなければ、薄っぺらな大人になっていたかもしれない。千早と両思いになれるか分からないけれど、本当の「良い男」になりそうな予感がしてドキドキする。

 他の登場人物もみな個性的で、技術的にも精神的にもぐんぐん成長し、胸が熱くなる。
 かるた歴35年の金井桜さんのように、
「若いって素敵!」
 と微笑んでしまう。

 かるたの競技としての魅力。変わってしまった幼なじみとの再会。百人一首の歌の内容など、見せ場が途切れず、シリアスとギャグのバランスも絶妙。さすが話題になる作品は一度つかんだ視線を離させないなぁ!

 瑞沢高校かるた部の部員たちは、強い弱いに関係なく、かるたのやり方を批評し合う。欠点を指摘されても恨んだりせず、その後の試合に活かす。
 キャプテンの千早と部長の太一が率直にものを言い合ってなお仲良しだからだろうか。自然にお互いを伸ばす空気が部内に出来ていて、羨ましくなる。人間関係がかなり良好でないとこうはならない。

 私もかるた部の子たちのように、自分の長所・短所をしっかり見つめて頑張ろう、と前向きな気持ちになった。他の人と同じ戦い方をする必要なんてないんだ。

 今はアニメを最初から見直しつつ(二度目でも面白い! 先を知っている分、余計に切なくなる場面も多い。子供の頃の話とか。その後の展開でどれほど大切な思い出になるか分かるから)「ちはやと覚える百人一首」という本を読んでいる。

ちはやと覚える百人一首 「ちはやふる」公式和歌ガイドブック
ちはやと覚える百人一首 「ちはやふる」公式和歌ガイドブック

 このアニメを見てから、百人一首を「ちはやふる」のテーマソングとして楽しめるようになった。
 特に太一は百人一首的だと感じる。

 この秋から「ちはやふる3」が放送されるそうで、嬉しい! dアニメストアでも配信されるみたい。
 2では完結していないので、続編が作られるのは素晴らしいニュースです♪

 物語の重要な舞台になっている、近江神宮に行きたいなぁ……!←すぐ聖地巡礼したがる
 
posted by 柳屋文芸堂 at 11:35| 映画・映像 | 更新情報をチェックする

2019年09月26日

旅とノートと万年筆

米子鬼太郎空港と大山の間の交通についての続き)

 この旅行記を書くためのメモ帳として、デザインフィルのトラベラーズノートを持っていきました。

トラベラーズノート リフィル 無罫 2冊パック レギュラーサイズ 14247006
トラベラーズノート リフィル 無罫 2冊パック レギュラーサイズ 14247006

 トラベラーズノートは21センチ×11センチの縦長のノートです(レギュラーサイズ。他にパスポートサイズもある)
 片手でも持ちやすい形。

 革素材のカバーをかけるのが本来の使い方のようですが、「リフィル」として売られているものもノートのように綴じられており、それだけでメモ帳として使えます。
 画用紙、軽量紙、クラフト紙、横罫、方眼など種類が豊富です。私は無罫・MD用紙のものにしました。

 このノートに万年筆でサーッと素早くメモを取るのが気持ち良くて楽しかった! 万年筆のインクが切れた後、仕方なくボールペンで書いたら、ペンと紙の摩擦が強くて重い。こんなに違うものなのか…… 文豪が万年筆を使うわけだ。
 コンバーターに充分入れたつもりのインクが3日持たなかったので、次の旅行ではインク瓶かカートリッジを持っていこうと思います。

 ここまで読んで下さった皆様、ありがとうございました!!

(終わり)
posted by 柳屋文芸堂 at 23:26| 旅行・お出かけ | 更新情報をチェックする